メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
「行ってきます!」
お茶とお菓子を受け取るときに支払いは済ませている。
他の手続きは必要ない。
「気を付けてください」
店を出るときにマリアにそんな言葉を貰った。
「拙者が先行する。皆も急いでくれ」
ハイザメ氏が飛び出して、俺たちの数倍の速度で先行していく。
さすがに速い。
「ハイザメは元々隠密部隊のような騎士団に居た男だからな」
俺と一緒に走るストロールがそう一言。
ユージフ族は体格で他種族に劣る種族。
そのせいで、こういうときに先行させるのは不安になりがちだが……
ハイザメ氏に限っては、それは当てはまらない。
まぁ、疑問は無い。
ハイザメ氏の有能さは、何度か行動を共にして理解はしているから。
だけど
「ハイザメ氏はどうやって、ギドさんが戦っている現場に駆け付けるんですか?」
俺たちはガリカが案内してくれるが、ハイザメ氏はそれが無い。
自分で探すしか無いわけだけど……
それに関しては
「アイツは音に敏感だ。案内なんか要らないさ」
「出会ったときもそのせいで、砂蟲ニンゲンに食べられなくて済んだのよね」
ストロールとガリカは全く心配していなかった。
襲撃や戦闘で音が起きないわけがないから、ハイザメ氏は案内無しで現場に容易に駆け付けられるのか。
……ユージフ族は蝙蝠に似た姿をしているけど。
音に対する能力も、蝙蝠に近いんだな。
俺はユージフ族は他の種族と比べて、身体能力で大きなハンデを背負った種族だと思っていたけど。
実際はこのように、他の種族より秀でた能力もある種族なんだな、と。
そう思って、何だか感慨深いものを感じた。
「皆、こっちよ!」
俺たちを導くために先行して飛んでいるガリカが鋭くそう声を発する。
確かに破裂音や金属音……
ようは、ヒトが武器を持って争う音が聞こえて来た。
「ロイヤルファイター!」
「ペルソナ!」
そして俺たちは現場に飛び込む寸前に、それぞれ戦いに向けてその姿を変えた。
ストロールは金属の戦士に。
俺は純白の怪盗服の姿に。
現場に飛び込むと、そこでは銀色の飛行する戦士……ギドのアーキタイプ「ターミネイター」が自分に群がる天使数体を相手にし、銃撃でハチの巣にしていた。
「逃さぬ!」
そしてハイザメ氏が自身のアーキタイプ「ロイヤルシーフ」で走り出していた。
フルフェイスの兜にも似た、ムツタリの仮面を被った人影を追って。
だがそんなハイザメ氏の前に。
黄金の鎧を身に纏い、赤い肌を持つ屈強な肉体の天使が、槍を構えて立ちはだかる。
「ここは通さぬ!」
……あれは確か……ミカエル。
確か、かなり高位の天使だったはずだ。
俺たちは加勢しようと向かうが
「拙者はいい! あの仮面を追ってくれ!」
ハイザメ氏はそう鋭く言い放つ。
……確かにそうだ。
逃すわけにはいかないだろ。
「任せました!」
即座に判断し、俺とストロールは駆け出した。
逃げていく仮面の人影は暗かったが……女性に見えた。
シルエットが柔らかいんだ。
一体、正体は誰なのか……?
ムツタリ族では無いと思いたい。
ムツタリ族が、自身の部族の巫女だった女性を貶めるために活動しているのは、救いが無いだろ。
でもムツタリ族で無いならば……
ルサント族、ローグ族、ニディア族……
あとはエルダ族。
この4つだろう。
イシュキア族とパリパス族は翼や尾という変装する際に邪魔過ぎるパーツがある種族だし。
クレマール族だと角が邪魔で、あの仮面が被れない。
そして仮面の人影が角を曲がる。
まずい!
あの先に分かれ道があるならば、見失ってしまうかもしれない!
そして俺たちが全力でそこに駆け込んだとき。
……最悪の状況だったんだ。
恐れていたこと。
分かれ道があったんだよ。