メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
「そりゃわかるさ」
ストロールは淡々と語る。
「まず、俺たちを見て落ち着き過ぎだ。……アーキタイプの姿は別に秘匿したものではないが、普通に見るものじゃない」
確かに……
俺は戦いの緊張感と、追跡失敗の焦りでそこに気が回らなかった。
今の俺たちと遭遇したのに、彼女は落ち着き過ぎていた。
少しも慌てた様子が無かったんだ。
でも……
クレマール族である。
俺はその時点で、通り魔の正体がリーフさん……いや、リーフであることを可能性から除外していた。
理由はあのムツタリの仮面を被ることができないからだ。
絶対に角が邪魔になるから。
それがまさかカチューシャでエルダ族がクレマール族に化けているなんて。
そんな可能性は全く考えていなかったんだ。
普通、そんなもので化けられるはずが無いと思うだろう?
だってカチューシャなんだぞ?
玩具みたいなもんじゃないか。
そんなもんで変装できるなんて子供の冗談みたいな話だ。
それが魔法のカチューシャじゃないのであれば、だけど。
……全く、良く気づいたよな。
俺はストロールのその慧眼に感服した、という他無かった。
だけど。
ストロールは続けてこう言った。
「……あとひとつ。これは公開情報では無いがな。……数年前の王を決める戦いのとき」
最後に現国王と戦った相手・大逆者ルイ。
実はルイは、エルダ族の人間だったらしい。
ルイは一般にはクレマール族の男という認識になっているが、違ったんだ。
ルイはエルダ族で……
変装で、同じように魔法のカチューシャを使用していたそうだ。
そしてこの情報は伏せられている。
何故か?
それは……
「新国王がクレマール族とエルダ族の混血で、最後の敵がエルダ族……」
この構図が、王を決める戦い自体がエルダ族の陰謀だった。
エルダ族がこの国を支配するために打った芝居だったんだ。
そんな憶測を呼びかねないので、伏せた。
俺にとっては衝撃の真実。
そんな話があったのか……!
知らなかった。
だから俺にはそういう発想は無かったけど。
ストロールはその実例を目の前で見ているから
「……当然、クレマール族であるからと、正体不明の敵の容疑者から外れることはない」
なるほど……
全てを聞き。
リーフは悔しそうに唇を歪める。
そして吐き捨てるように
「明智吾郎!」
俺に鋭い視線を向けて。
言い放った。
「……前の世界では人殺しに手を染めていた癖に、私の邪魔をするなんて、恥を知らないの!?」
……俺にとって。
絶対に言われたくない、耳を塞ぎたい言葉を。