メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第119話 俺の決断

 俺の返答に。

 

 ガリカとストロールが息を呑んだ。

 

 信じられない、マジか。

 そういう気持ちが目に出てる。

 

 俺は心臓を掴まれるような思いがあった。

 これを言えば俺は終わる。

 

 そう思った。

 

 だけど

 

「……俺は前の世界で殺し屋をやっていたんです」

 

「えっ」

 

 俺の告白にガリカが声をあげる。

 

 彼女は目を見開き、慌てたように

 

「あなた、怪盗をしていたんじゃないの!?」

 

「それも嘘では無いですが、殺し屋もしていたんです」

 

 その戸惑いと焦り、混乱。

 様々な感情で慌てる彼女に、俺はそう返す。

 

 ……最初から、嘘しか言って無いとは言いたくなかった。

 この人たちは、俺を間違いなく仲間と思っていてくれていたから。

 

 だから変な言い方だけど……

 

 事実を交えて話していて良かったと。

 心底思った。

 

 最初から嘘ばかり言っているクズ野郎にはならずに済んで。

 

「……詳しく話してくれ」

 

 そしてストロールは。

 

 俺にそう促した。

 真実の俺は、前の世界で一体何をやってきたのかを話せと。

 

 それに対して俺は

 

「……俺は」

 

 父親の関心を引きたくて、殺し屋をしていた。

 

 そう言おうとした。

 だけど

 

(我が身可愛さに、父親を売る)

 

 そんな言葉が頭を過った。

 

 ワケがわからない。

 何で俺が、あんな父親を気にするんだ……?

 

 母さんを、俺を捨てたクズを!

 

 だけど……

 

 罪人を増やして、自分への追及を緩める。

 そのためには獅童(しどう)正義(まさよし)の前の世界での罪を公表した方が良い。

 

 そのことに思い当たったときに。

 俺の声が出なくなった。

 

 言えなくなったんだ。

 

 ……どうして?

 

 考えた。

 考えて……

 

 分かった。

 

(ああ、そうか)

 

 俺、親を売って。

 親と断絶するのが嫌なのか。

 

 結局、そこか。

 何も変わって無いじゃないか。

 

 あのときと……

 

 父親に「お前を産ませて良かった」と言ってもらいたいためだけに、父親の手先になって悪の限りを尽くしていたときと。

 

「……どうした?」

 

 ストロールが黙り込んだ俺を訝しんで、訊ねる。

 どうしよう……

 

 黙っているわけにはいかない。

 

 そして……

 

 嘘を吐くのは絶対に嫌だ!

 

 俺を、受け入れてくれた人を欺くことはしたくない。

 

 なので、俺は

 

「殺し屋をすることで、愛されようとしていました」

 

 ……こう言った。

 これ以外、これ以上は言えなかった。

 

「……愛されるために?」

 

「えっ、どういうことなの?」

 

 俺の言葉に顔に疑問符を浮かべるストロールとガリカ。

 俺は頷き

 

「それ以外に、俺はその人に愛される手段を思いつかなかったんです」

 

 それは誰だ?

 そう言われたら……

 

 そのときは

 

 覚悟を決めるしかない。

 

 口を閉ざすか、話すか……

 

 だけど

 

「……分かった。余程言いたく無いんだな。訊かないよ」

 

「ストロール……?」

 

 ストロールの静かなその返しに、ガリカが目を向ける。

 本当にいいの?

 

 そう言いたげな視線で。

 

「……訊かないんですか?」

 

 俺は信じられなくて。

 そう訊き返すと

 

 彼は頷き

 

「言ってしまえば、アンタはアンタの中で裏切りをすることになる。それは……」

 

 辛いよな。

 やりたく無いだろうさ。

 

 だったら訊かないさ。

 意味が無い。

 

 アンタにそこまでの苦痛を与えてまで、訊く価値のある話じゃないだろ。

 

 アンタが誰に愛されたかったなんて。

 言っちゃなんだが、どうでもいいことだ。

 

 ……そう、言ってくれた。

 俺は震えていた。

 

 その気遣いに。

 

「ありがとうございます……」

 

 だから言っていた。

 心の底から。

 

 頭を下げていた。

 

 ガリカとストロールは、そんな俺を黙って見つめていた。

 

 そして

 

「でも、これだけは教えて」

 

 ガリカが口を開く。

 

 それは……

 

「あの、エルダ族の女性は何者なの?」

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