メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
キンシローという男性……
これで俺の父親しかエルダ族……というか前の世界からの転生者がいない状況だったら、正真正銘の地獄で。
多分俺は仕事を続けられなかったと思う。
仕事の基礎を父親に訊くのは嫌だったので。
俺は筋違いかもしれないと思いつつ、キンシローさんにお願いした。
最初は、あからさまに「何で俺なんだ?」という顔をされたけど。
止む無く「生前、あの男は僕の父親で。確執があるんです」と言ったら
「親子でいがみ合っとるのか」
……露骨に顔を顰められた。
で
「父親はずっとはおらんのだ。一時の感情で断絶するのは感心せんな」
……ほっとけよ。
正直、そう思ったけど。
こっちは仕事を訊く立場だし。
ついでにいうと、キンシローさんは生前高校の教師だったらしいので。
職業病なのかもしれない。
だからまあ、そこはなんとか耐えてやり過ごし。
話題を死んだときの時代の話にすり替えた。
「なるほど。お前さんは2016年からか。ワシは2012年だ」
仏頂面でそう返してくるキンシローさん。
彼は俺より4年前に死んだのか。
「ということは、キンシローさんは4年前からこの世界に居るんですか?」
そう訊ねると彼は顔を左右に振り
「1年前だな。そこのお前さんの父親は、半年前にやって来たと言ってた」
……死んだ時期とリンクはしてないのか。
だとしたら、アイツが死んだのは俺が死んですぐ後じゃないのかもしれないな。
というか……2ヶ月ってのはここで働いて2ヶ月ってことか。
じゃあ4ヶ月間、あの男は一体何をして生きて来たのか……?
生き抜く力は強いんだな……
なんというか……複雑な気持ちだ。
キンシローさんはそう父親の半年間に思いを馳せている俺に
「お前さんはいつだ?」
当然のその質問。
俺は特に問題も無く
「今日ですかね」
即答。
キンシローさんは俺の言葉を聞き
「運が良かったな。転生してすぐにベルギッタ殿に出会えるとは」
ワシは1週間ぐらいだったな。
それまでは、道端で寝ておったよ。
何だか嬉しそうに、キンシローさんは俺にそう語ってくれた。
俺はキンシローさんからこの世界の文章の書き方を習った。
一応、高校生探偵時代でも、報告書は書いていたけどさ。
こっちの書式ってヤツは分からないしな。
そのなかで
「……どういうわけか、このユークロニア連合王国で使われとる言葉の概念は、日本語にかなり似ておるんだ」
だから作文技能を習得するのにそれほど苦労はせんかった。
外国語につきものの、言葉の概念のズレによる問題があまり無いのは助かったよ。
……そんな話をされた。
正直驚きはあった。
アイツは、俺の父親は「この国の言葉には敬語や謙譲語の概念がある」という話をしていたけど。
そこまで似てるのか。
……同じ言語でも、長い年月が経つと全く別の言語になるという話は聞いたことはある。
ただ、その際に文章を作る際の語順だけは変化しにくいとも聞いた。
……言葉の概念はどうなんだ?
俺はその辺の勉強をしたことがないからハッキリとは言い切れないけどさ。
ひょっとしてこの世界、前の世界と何らかの関りを持っているんだろうか……?
いや、まさかね……