メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
「だから……?」
思わずおうむ返しに繰り返す。
俺はワケが分からなかった。
俺は
なんて酷い真似を。
そんな悲惨な目に遭った人間が俺たちの前に立ち塞がっているのか。
お前は何て真似をしたんだ。
目の前から消えろ!
……こんな言葉が来ると思っていた。
でも、違ったんだ。
「あの女が前世で悲惨な目に遭ったのは理解した。一応な」
ストロールの視線は固かった。
固い視線で、俺を見据えている。
そのまま俺に
「そしてアンタが昔とてつもない極悪人であったことも理解した」
そう、ハッキリと濁さない言葉で言い放つ。
とてつもない極悪人。
そうだ。
その通りだ。
俺の心が凍り付き、ひびが入る思いだった。
だけど
その後に続いた言葉は
俺を真っ白にさせた。
それは……
「……で? だからどうなんだ?」
衝撃だった。
ストロールの言葉は
「だからこのユークロニア連合王国が崩壊に導かれるような謀略を仕掛けても許されると? 自分は止める立場に無いと?」
とても力強くて、真っ直ぐな意思が籠っていて
「関係無いだろ。実行犯が昔どんな悲惨な目に遭ったかなんて関係ない」
俺に一直線に突き刺さってくる。
迷いなんて一切ない、本当に真っ直ぐな言葉。
真っ直ぐな言葉を、真っ直ぐに俺を見て続ける。
「そして罪を犯した者が、他の悪を止めようとしてはいけないなんて理屈もどこにもないな」
ストロールのその言葉に、俺は……
目の前に光が差した気がした。
俺が一色若葉の前に立ち塞がったとしても、それの何が問題なんだ?
そう、彼は俺に言ってくれたんだ。
俺は
「……ありがとうございます」
思わず、礼を口にしていた。
だけどそれにはストロールは
「礼を言われるような筋合いは無い」
苦い声でそう返して来た。
気持ちは分かる。
対応に困ったんだろうな。
困って、困り抜いたけど。
俺に最低限言っておかないといけないことを言ったのか。
自分が思う「それは違うだろ」ってことを。
でも俺はそれで救われたんだ。
間違いなく。
前の世界で俺が命を奪った相手が、こっちの世界で今度は罪を犯そうとしている。
それを止める権利が俺に果たしてあるんだろうか……?
その思いで動けなくなっていた。
それをぶっ壊してくれた。
礼を言うのは当然だ。
「いえ、ありがとうございます」
もう一度、俺は礼を言った。
頭を下げて。
ストロールは
「……アンタの話は聞かなかったことにする。あの女性の話もな」
少し硬い声でそう宣言し。
視線を傍を舞うガリカに向けて
「ガリカもそれで頼む。ややこしくなるから」
そう、一言。
それを受けて
「……分かったわよ。もう」
溜息をつき。
少し顔を顰めつつ、彼女はそれを受け入れた。
今聞いた俺と一色若葉の話を、全て忘れることを。