メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
一色若葉の出頭。
王城のニューラスの部屋で、俺はその事の顛末を聞くに至った。
「一色若葉は何て言ってるんですか?」
一色若葉の思惑を知りたかった。
だからそう訊ねると
「出頭するときに言ったそうだ……詰所の前で」
ニューラスは苦り切った表情で教えてくれた。
一色若葉はこう言っているらしい。
自分は許せない謀略を知ってしまったから行動を起こした。
だが汚い王室の企みに負けて、もはや手詰まりになったからこうして出頭した。
真実を処刑のときに話すから、皆来て欲しい、と。
自分の悔しい胸の内を知ってくれ、と。
「……アイツ、処刑のときに何を話す気か知らねぇが、これで秘密裏に処刑することはできなくなった」
それをやると、一色若葉が口にしたことが真実であるという憶測を呼ぶ。
それはマズい。
そりゃそうだな……
その状態で公開処刑を中止して、内々で処刑したらそう思われる。
本当のことを喋られるとマズいから口を塞いだ、と。
じゃあどうするんだ?
だったらもうあきらめて、何もせずに一色若葉を処刑台に送るしかないのか?
いや……
「あの、僕に説得させていただけませんか?」
「お前さんがか?」
ニューラスはいきなり何を言い出すんだという顔で俺を見る。
俺は頷いた。
……ここで、こう言わないのは無責任だろ。
一色若葉と会話するのは本心では嫌だ。
でも、俺でないと言えないことがある。
だったら、ここは前に出るべきだ。
それが責任を果たすってことじゃないのか。
俺の申し出は中々受け入れてもらえなかったが。
一色若葉も俺同様、旧世界のからの転生者であるという事実を口にすると。
ニューラスは「ちょっと待っていてくれ」と言って出て行った。
そして2時間くらい待たされて
戻って来たニューラスに
「陛下から許可を取れた。来てくれ」
そう言われて。
連れていかれたよ。
……王城の、地下牢に。
王城の地下牢は、予想よりもずっと綺麗だった。
無論飾り立ててはいなかったが、寝泊りすることに苦痛を感じるような不潔さが無い。
石畳の上は清掃が行き届いている感じだし。
使っていない牢獄内に、不要なものは一切入ってない。
布団の置いてないベッドと、便器と洗面台。
それがあるだけで。
埃が溜まってるような感じが無かった。
……確か、こういう施設のレベルが、その国の品位に直結するんだよな。
罪人に対する扱いがぞんざいな国は、本性がそういう国なのだ。
前の世界で、誰かが言っていた気がする。
「こっちだ」
ニューラスの案内についていく。
すると、ルサント族とクレマール族の女性兵士が槍を持って見張ってる区画に来て。
「ご苦労さん。イッシキワカバに会わせたい奴がいるんだが、今いいか?」
「少々お待ちを」
ニューラスの言葉に、2人いた女性兵士のうち。
クレマール族の方が奥の方に引っ込んで。
数分後。
「大丈夫です。どうぞ」
許可が出た。
ニューラスがそれに頷き
「行くぞ。ついてきな」
手振りを交えて。
俺にそう言った。
この中は女性の囚人を入れる区画なのか。
便器の向きが横向きになってる。
用を足すとき、外の房より多少マシになる気遣いがある気がした。
まぁ、叩き込まれている罪人は不在で、ガラガラなんだがな。
そして奥まで来たとき。
そこに1つだけ、使用中の牢獄がある。
鉄格子の奥。
牢の中に叩き込まれているのは……
「あら、何の御用なのかしら?」
眼鏡を掛けた知的な美人。
……一色若葉だった。