メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
「そんな言い方無いだろ!」
俺がこれを言うのかよ。
どの面下げて。
でも、思わず言っていた。
母親だったら子供に会いたいはずだろ。
なんでそんなにドライなんだ!?
アンタ、俺に殺されるときに娘のことしか言って無かっただろ!?
自分の研究が悪用されることを非難するようなことは言って無かった!
それぐらい、自分の子供を大事にしていたはずなのに!
「アンタ自分の子供に会いたくないのか!?」
「もうあの子は自立しているわ。大切な友達に囲まれて、恋も知り、頼りになる父親も得て。……私が果たすべき仕事は無いでしょ」
そう、淡々と口にする。
冷静に事実を口にしている。
そういう雰囲気を漂わせている。
「仕事が無ければ母親が子供の傍に居てはいけないのか!?」
「……私を殺したあなたがそれを言うの? 何を言ってるのかしら?」
一色若葉は俺の言葉をそう切って捨てる。
取り合う価値のない程度の低い言葉。
そう言いたげに。
その言葉に俺は反論できない。
その通りだよ。
だけどさ……!
俺は低レベル、汚いやり方とは思ったが
「アンタは子供が生まれたとき、愛しいと思ったんじゃ無いのか!? だから育てたんだろ!? シングルマザーなのにさ!」
「だからあの子を施設に放り込まないで、自分で育てたんだろ!? 望んで出来た子でも無いのに!」
……止められなかった。
許せないと思ったんだ。
理由は多分……
俺自身が、無条件で母さんに愛されている。
そう思う根拠が揺らいでしまう。
そんな、自分都合。
俺の母さんは、俺を産まなければアイツに捨てられず、愛人を続けていられたはず。
そしたら多分、早くに亡くなることもなかったはずなんだ。
だから俺は、自分が無条件で愛されていると信じたかった。
運悪く俺が出来てしまったから、嫌な責任を無理矢理負わされて、その責任のせいで悲惨な最期を遂げた。
そう思うのがどうしても嫌だったんだよ。
だけど
「……何を怒っているの? あの子は今は幸せなんでしょ? それでいいじゃない」
「だからその娘に会いたいと思うのが……」
呆れた視線を向けて来る一色若葉に、俺は感情的に噛みつく。
そして言った。
「アンタ、それでも本当に母親なのか!? というか人間じゃ無いだろ!」
衝動のままに。
俺は自分が命を奪った被害者に、完全に恥知らずな非難を続ける。
お前が言うな、そのものな非難を。
その中で俺は
「まるで、アンタの人生の設定を読み込まされた大根役者みたいだ!」
そう言ってしまった。
そう思ったからだ。
まるで彼女の人生設定を読み込まされて、一色若葉を演じている大根役者。
大根役者だから、その役の設定を読んだだけで……
その人生でその役がどういう感情を持ったかをなり切って想像して、正しく理解してない。
なのでおおよそ現実離れをした解釈をして、的外れの演技をしている。
そう思ったから、思ったまま言ったんだ。
するとそのときだ。
(えっ)
そのとき、俺は
……一色若葉の目に、僅かに動揺の光が浮かんだのを見逃さなかった。
マズいことを言われた、という。