メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
第136話 暴挙に出る真惺教
「えっ」
全く予想していなかった。
例によってニューラスの部屋で仕事をしていたら、緊急の呼び出しで。
会議室に直行したら、国王に教えられた。
「国民議会会館を真惺教が襲ったんですか?」
「ああ」
国民議会会館。
前の世界だと国会議事堂にあたるところだ。
前の世界と違うのは、実質的な最終決定権も国王にあることで。
ここで決まったことは、必ずしも国王が受け入れて承認しなければいけないというルールが無いことくらいか。
だからまあ、重要な機関ではあるけど、無いと国が止まってしまうという場所では無い。
そこを突かれたのか。
王城を攻めるのは無理でも、国民議会会館なら陥落できる、と。
真惺教の僧兵団が乗り込んで来て、警備兵を殲滅し占拠したらしい。
そして彼らは
「ルシファーは邪神である!」
「そんなものを崇拝せよと触れを出す国王は、邪神の手先である」
「国王は大教主マリード様に譲位せよ!」
そんなことを言ってるそうだ。
国民議会会館に乗り込んで、中で議論していた議員たちを拘束し人質にした後で。
「どうするんですか?」
正直、ここまでの暴挙に出て来るとは思っていなかった。
こんなことをしたら、あとはもう真惺教が国家転覆を成功させるか、真惺教が完全に潰されるか。
その2択だろ。
それくらい、ルシファーをユークロニア連合王国の宗教全体の神として拝むことが嫌だったのか。
「彼らは僕に王冠を渡せと要求している。……僕自身に、だ」
国王は苦い顔で、真惺教の連中の要求について口にする。
メチャクチャだな。
国王自身に王冠を持参させて、渡せと。
この件が片付いたら、真惺教のこの件の関係者は残らず死罪になりそうだ。
彼らはその覚悟があるのか……?
もし、旧世界の神々に精神を乗っ取られて行動を起こしたのだとすれば、気の毒ってもんじゃないけど。
まあ、それよりも、だ
「彼らの言い分ではルシファーが邪神だと言ってるらしいですが、その根拠は何か言ってるんですか?」
俺は当然疑問に思うことを訊ねる。
邪神認定するんだから、当然根拠は要るはず。
何故って、俺たちとしては「ユークロニア連合王国の宗教共存の象徴」として拝む対象にするために、独自設定した完全オリジナルの神なんだ。
それを邪神だなんて言われる筋合いはない。
意味が分からない。
だけど
国王は苦い表情で首を左右に振る。
「……それは言って無いらしい。彼らは世間的には意味不明なのを考えていないようだ」
そっか……
それはまずいな。
多分連中、かなり強引な手を使って、この暴挙に出てる。
さっき「真惺教の人間は、精神を乗っ取られているのでは?」という予想をしたけど。
その可能性が大いにあるな。
意味不明な理屈で、ここまでのことはやれないだろ。流石に。
精神状態が普通であるならば。
国王は続けた。
「そして彼らは、明日の正午までに国王が王冠を持って現れなければ、人質を1人ずつ殺すと言っている」
……そんな、重い言葉を。