メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第140話 一流の政治家

 議場奥の玉座付近で悔しそうに膝をついている男……

 

 アロンゾはニディア族の男で。

 年齢は30代くらいに見える。

 

 顔立ちは整ってる方で、水色の髪をしていた。

 その髪は長く、滑らかで。

 貴族のように見える。

 

 ニディア族は有力種族じゃ無いから、おそらく生まれながらに今の地位にあった人間じゃ無いだろう。

 己の才覚でここまで成り上がったタイプだ。

 

 なんだか雰囲気が、雨宮蓮(アイツ)に近い気がする。

 自分1人の力を信じているけど、それ以上に仲間のことも信じている。

 そして法の正義よりも自分の思う正義を信じるタイプ。

 

「……彼に似ているな」

 

 隣で見ていた俺の父親がそんなことを呟いた。

 コイツも同じことを思ったのか。

 

 俺の父親は

 

「放置していると、良くないことが起きそうだ」

 

 そう言いつつ。

 

 自分の怪盗服姿を解除する。

 俺はその行為に戸惑うが

 

 続けて

 

「危なくなったらサポートを頼む」

 

 そう言い残し

 

 俺の父親は議場内部に入って行った。

 

 何をする気だ?

 理解できなかったけど。

 

 コイツは考え無しで動く奴じゃない。

 

 だから俺は黙って従い、大扉の陰でそれを見守る。

 

 俺の父親は

 

「議長殿!」

 

 そう、良く通る声で言い放つ。

 

 議場の人間の視線が一斉に俺の父親に集中する。

 

 ……俺は驚いていた。

 

 これが政治家のオーラという奴か。

 俺も一瞬、引き込まれかけた。

 

 慣れてるはずなのにな。

 

 コイツは元々悪徳政治家で、邪な手段で総理大臣になることを目指した男だけど。

 コイツについて来た人間が何人も居たんだ。

 

 コイツがただの無能だったら、無理だよ。

 当たり前だ。

 

 仮にその辺の汚いおっさんが

 

 俺はこの国の指導者になる!

 お零れに与りたいヤツはついてこい!

 

 とか言い出しても。

 寝言は寝て言えって言われるのがオチだ。

 

 でも、コイツには人がついて来た。

 それはそれだけのものがコイツにあったということだろ。

 

 それが、これなのか……

 

「この有様は何ですか!? 議長殿!」

 

 突然何を言い出すんだというものだけど。

 声の調子、態度。

 

 それに呑まれて、他の人間が一切喋れない。

 引き付けられている。

 

 ただ1人を除いて

 

「君かッ!? 逃げろッ! こいつらは我々を魔導器で洗脳しようとしている!」

 

 それは。

 

 議長のアロンゾだった。

 

 吞まれていたのは一瞬で、すぐに状況を把握し。

 話を合わせた。

 

 面識もない俺の父親を利用して、この場をかき回すために

 

 大声で

 

「絶対にその魔導器に自分から触れようとするな! 取り込まれるぞッ!」

 

 ……これは嘘を吐き慣れている人間の振る舞いだ。

 それが俺にはすぐに分かって。

 

 同時に

 

「陛下に伝えてくれ! 真惺教の連中は魔導器で全員洗脳されている!」

 

 この男は、国王に絶対の忠誠心を併せ持っている。

 ……そのことについても、俺は分かってしまった。

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