メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第145話 お前たちは負けたのだ

「ほざくな人間風情がッ!」

 

 ミトラスの叫び。

 同時に放たれる火炎。

 

 灼熱の火炎が俺に向かって降り注ぐ。

 俺は駆け出す。

 

 その後を追うように、連続で撃ち込まれる火炎弾。

 

 だが

 

 その魔法は、途中で停止した。

 

「ぬうう!」

 

 ……そう呻き、ミトラスは眉間を震わせている。

 

 そして俺の父親を睨んだ。

 

「キサマ……我に呪詛を」

 

 俺の父親のペルソナのヨシミツが、ランタマイザを発動させてミトラスを弱体化させたんだ。

 ヨシミツは胸の前で印を組むように手を合わせ、不動の姿勢を取っていた。

 ミトラスは歯を噛み締める表情。

 

 そして吠えた。

 

「だがこのような呪詛など……我に外せないとでも思ったか!」

 

 そうミトラスは言い放ち、ランタマイザを吹き飛ばすための対抗行動を始めた。

 

 こいつ……対抗魔法であるデクンダを使えるのか……!

 

 だけど!

 

「やれ! ヘリワード!」

 

 その隙を黙ってみていなければならない理由は無い!

 

 デクンダが発動するその前に、俺のヘリワードがその手の弓を引き絞り、矢を放った。

 放たれた矢は、この認知世界の空気を切り裂き

 

 ミトラスの胸を射貫いた。

 

「グオッ!」

 

 ミトラスが仰け反る。

 そこに

 

「ヨシミツ! 一気に叩き潰せ!」

 

『承知だ』

 

 同時に俺の父親のペルソナが動く。

 

 ヨシミツの背後に出現する、無数の弓を構えた武士たち。

 武士たちの一斉射撃は、ミトラスに追い打ちの矢の雨を降らせる。

 

「グアアアアアアッ!」

 

 全身に矢を浴び、ミトラスは

 

 絶叫し

 

「お、おのれ……」

 

 グラリ、と身体を傾かせ

 

 俺たちにこの戦いの決着を悟らせた。

 

 ……だけど。

 ミトラスは

 

 そのまま消滅する前に

 

「だ……だが……これで勝てたと思うな人間よ……!」

 

 その右目にも突き刺さった矢を掴みながら

 

 笑みすら浮かべて

 

「法の神の打った手は、我だけではないぞ」

 

 そんなことを口にした。

 これは……

 

 俺は直感で確信した。

 

 これは負け惜しみでも、ハッタリでも無い……!

 

 ミトラスは唇を残酷に歪めながら

 

「……まもなくだ」

 

 そう言って、嗤い始めた。

 自分の死の運命なんかまるで気にしないで。

 

 俺たちは動けなかった。

 ミトラスの最期のその言葉の前では

 

「それを知って、絶望し、諦めるがいい!」

 

 ミトラスの身体が黒い塵になって消えていく。

 もはやそれは止めようがない。

 

 だけどミトラスは、勝ち誇っていた。

 勝利者の態度だった。

 

「お前たちは負けたのだ!」

 

 そしてその言葉を最後に、ミトラスは完全に塵になり消滅した。

 

 その消滅の瞬間に

 

 無数のキラキラとした、薄紅色の、宝石のようなものを振りまきながら。

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