メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第148話 魔王アバドンじゃな

『我が名を讃えよ。そして我に従うがいい』

 

『さすれば、生贄に捧げられた者も救われよう』

 

 法の神はファビアンヌさんの叫びを無視して

 一方的に話し続ける。

 

 自分に従えば居なくなった人々が救われると。

 だけど

 

「ふざけるな!」

 

「そうだ! 何が旧世界の神だ! わけのわからないことを!」

 

 その場にいた人々に、その声にひれ伏す者は1人もいなかった。

 誰一人として、国王に対する不信や批判、怨嗟の声をあげる者はいなくて。

 

 逆に法の神への憎悪を滾らせている。

 

 ……かつてこの国は酷い状態で。

 それを今のような状態にまで持って来たのが国王。

 

 その恩を、皆は忘れて無いんだな……

 

 俺は別に関係のないことだったけど、俺はそのことに綺麗なものを感じた。

 

 そして

 

「うちの子を返せ!」

 

「うちの人を返して!」

 

 ……人々の怒りの声を聞き続けるのを止める。

 

 俺が、いや俺たちがやるべきことはそうじゃない。

 

 この情報を持って帰り、対策を練ることだろ。

 

「いくぞゴロー」

 

「ああ」

 

 俺の父親の言葉に頷く。

 マリアが巻き込まれたことは気にはなる。

 

 だけど。

 

 俺がやることは、ここでそのことの成り行きを見守ることじゃない。

 

 

 

『そりゃあ、アバドンじゃの』

 

「アバドン?」

 

 ニューラスの訊き返しに、女神は頷く。

 そして

 

『魔王の一種じゃ。……例によって、法の神に貶められた古代の神々の一柱よ』

 

 その詳細を口にした。

 

 ……王城に戻って来て。

 即、会議室で対策を打つための緊急会議だ。

 

 そこには旧世界の神として女神(アマテラス)が加わっていて。

 レガリス大聖堂で何が起きたのかを女神としての目で分析してくれた。

 

 その結果がこれだ。

 

 どうもレガリス大聖堂は魔王アバドンに飲み込まれたらしい。

 アバドンは「破壊の場」「滅ぼす者」「奈落の底」を意味する名前を持つ魔王で。

 その身体に異次元を持っている。

 

 なので、特定の空間を飲み込み、消失させることが出来るらしい。

 俺はその女神の分析結果を聞き

 

 思った。

 

「ということは、飲み込まれた人々はまだ無事なんですか?」

 

 俺のそんな問いに女神は

 

『それは分からん』

 

 首を左右に振った。

 

 だけど

 

『しかし法の神が、自分を信仰する見返りに確保する人質とするなら、無事でなければまずいじゃろ』

 

 ……そりゃま、そうだな。

 言われた通り法の神を敬い、改宗すると誓ったのに。

 人質にされていた人々が帰って来ないなら、即再改宗で自身の立場が無くなる。

 

 確かに無事でないならまずいかもしれない。

 絶対とは言い切れないが、可能性は、望みは十分あるはずだ。

 

 だけど

 

「だとしても、どうすれば助けられるんだ?」

 

 ウイル国王の言葉。

 その言葉には焦りがあった。

 

 国民の命が掛かっているからだろうか?

 

 ……多分、そうなんだろうな。

 

 そういう人物だと思うし。

 その言葉に女神は

 

『……手が無いわけでは無いぞ』

 

 そう言って

 

 口にした。

 

 その対策を。

 

 

 

 そして今

 

 俺はレガリス大聖堂があった場所に居た。

 

 仮面を……目元を隠す、仮面舞踏会の仮面をつけて。

 

 衣装は国王のものと同じデザインのものを着用。

 そして頭髪は髪型を国王と同じにして、色も薄い水色に染めた。

 

 ……この世界でも髪を染める技術はあったようで。

 一般的では無いのだけど。

 

 ただ、髪が痛むのと薬剤がかなり有害らしく。

 そのせいで日常的に染める者があまりいないんだそうだ。

 

 でも、今回はそうも言ってられないしな。

 

「……行きますよ陛下」

 

「陛下、無茶はなさらぬよう」

 

「陛下、絶対成功させるわよ」

 

 俺の傍には3人の王妃たちがいる。

 

 第一王妃ユーファジア。

 第二王妃ヒュルケンベルグ。

 そして第三王妃ジュナ。

 

 この国の、3人の国母たち。

 

 彼女ら3人を従えて、ここに来て。

 

 この場を支えるんだ。

 

 俺は頷き

 

「行くぞ妃たち」

 

 なり切るために、そう言い放つ。

 

 ……ユークロニア連合王国の国王であるウイルに!

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