メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話   作:XX(旧山川海のすけ)

15 / 169
第15話 本当のところは

 実際に見るユージフ族は……

 

 なんというか、マスコットのイメージだった。

 別に醜くはない。

 むしろ愛らしい。

 

 言葉を喋る愛玩動物。

 そんな感じだ。

 

 服は着ている。

 なんだか、村同様時代劇の農民っぽい服。

 色は緑だったり、藍色だったりで派手さは無い。

 これが彼らの民族衣装なのか。

 

 ぬいぐるみみたいな外見なのに。

 

 まぁ、口には出さないけど。

 明らかに差別だしな。

 

 彼らが見下されるのは、この外見が大きな理由だろうな。

 他にもあるかもしれないけど、これが理由のひとつでないはずがない。

 

 小学生くらいの体格の、コウモリに似た姿の獣人。

 ……これで成人しているって言われても信用できないよ。

 声さえ聞かなきゃな。

 

 ……声は大人なんだよ。

 目の前のユージフ族のうちの1人……黒い毛並みの蝙蝠人間は、低めの渋いボイスで俺たちに挨拶して来た。

 声からすると多分男だな。

 

「私はこの村の村長をしておりますズハウスと言います」

 

 男は村長と名乗った後、おそらくだけど愛想笑いを浮かべた。

 そして

 

「お疲れでしょう。ささ、食事と入浴の準備をしております故……」

 

 そんなことを言い出した。

 だが

 

「そういうことはしなくて良いです。確認に来たわけですから」

 

 俺の父親はそう、村長にニコリともせずに返す。

 

 魔導器の適切管理の確認に来た人間として、正しい態度なんだろうな。

 確認に手心なんて加えるわけにはいかないし。

 だとしたら接待は受けられない。

 

 ……俺は父親のこの態度が少し意外に感じたけど……

 

 そういえば生前、屋敷の自室でこいつが酒を飲んで管を巻いていたとき。

 デスクの上でウイスキーグラスを傾けながら、赤ら顔で

 

「国民なんてぇ、地道な努力を否定する怠け者ばかりだぁ」

 

「すぐ、先生そこをなんとかとか、意味不明の戯言をほざく。死に絶えろ馬鹿どもがぁ」

 

 そんなことを、吐き捨てるように言っていた。

 

 傍で聞いてて俺は

 当時は「そういうお前はどうなんだ?」って思っていたけど

 

 ……ひょっとしたら、元々の俺の父親はこういう徹底した真面目人間で。

 政界で揉まれる中で、歪んでいったのかもしれないな。

 

 酒飲んで愚痴ることがそれってことは、腹が立っていたってことだ。

 腹が立つってことは、それが自分の中では許せなかったってことだろ?

 

 だから元々は……そういうことだったのかもしれない。

 

 まぁ、だからといってこいつの生前の所業は許されないし、俺もこいつの被害者の1人として、許す気は無いけどな。

 

 知るかよ。

 本当のところがどうだったかなんて。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。