メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
「えっ、身代わりって、僕がですか?」
別にそれ自体は良いんだが。
そんな危険な役回り御免だとか、そんな義務は無いとか。
そういうのは一切ない。
だけど
「僕で大丈夫なんでしょうか?」
言いたかないけどさ。
ウイル国王は、俺より頭1つくらい、身長が低いんだ。
女性であるユーファジアさんと同じくらいしかない。
対して俺は、一般的な男としては割と高い方。
俺が国王に化けるのは難しくないか?
そんな俺の懸念点は
「身長のことならば別に問題は無いよ」
国王はしっかり考えていて。
「僕自身は、あまり人とナリは国民たちには知られていないんだ」
無論知ってる人もいるけど、そう多くない。
そんな国王の言葉。
どうも姿を知られていると、お忍びで行動するときに不便だから、意図的にそうなるように仕向けたそうだ。
……そうなのか。
でもまあ、前の世界とは違うわけだから。
そうであっても変じゃ無いのかもしれないな。
前の世界はテレビで国家元首の顔なんて普通に出てたし、出ない方が異常だったけど。
この世界ではそうじゃないんだから。
実際、俺もここに呼ばれるまでは国王の顔を知らなかったわけだしな。
「それに、妃3人をお供につける。妃3人に王として扱われていれば、まず疑われないと僕は思う」
国王のその言葉に
「陛下。それなら私たちがアーキタイプを発動させれば、身長差がより分かりにくくなりますね」
国王の案を補完するような第一王妃の言葉。
……そこまでしてくれるのか。
だったら
「分かりました。お引き受け致します」
これ以外、返答しようが無いだろ。
俺のその言葉に。
隣の席にいた俺の父親は
「……ゴロー、そちらは頼む」
コイツにモノを頼まれる。
命令を受けた記憶は多かったけど。
そのことを深く自覚できたのは、これがはじめてかもしれない。
俺は
「アンタは東京の方を頼む」
皇居の賢所への案内なんて。
この場ではこの男にしかできないんだし。
俺は少し迷ったが
「……親父」
そう、はじめて意識的にその言葉を口にした。
俺たちが姿を現したその場所には、最初ほどではないが人がいた。
危険な様子が無かったからな。
天使が出現して襲ってくるとか。
集まった人々がバタバタ死んでいくとか。
謎めいた事件の現場であることは、人が消える要因としては少し弱い。
「ロイヤルサマナー!」
「ロイヤルナイト!」
「ロイヤルマスクドダンサー!」
アーキタイプを発動させ、俺の周囲に控える
ユーファジアさん。
ヒュルケンベルグ。
ジュナさん。
3人が変じた3体の甲冑風の異形の戦士の姿に
「あっ、王妃様方!」
「陛下!」
……かなりあっさり、俺の変装は受け入れられたらしく。
特に疑念を挟む人間は居なかった。
……ニューラス曰く。
快適さ度外視で、鎧戦車をめいいっぱい高速でぶっ飛ばしたとしても。
あの偽物の東京と王都の往復には1日は掛かるそう。
国王たちはあの会議の後、速攻で鎧戦車を飛ばして。
俺たちは俺たちで、身代わりを務めるための準備に朝まで掛かったから。
……あと、差し引きで約12時間。
そこまで耐えなきゃいけないんだよな……!
緊張に、俺は唾を飲み込んだ。