メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
「何が罪だ!」
言い争う時間は長ければ長いほどいい。
だからまず、否定から入る。
「この国はお前など知らない! 勝手なことを!」
『勝手ではない。我は正義であり、真実であり、正当である』
姿は見えない。
だけど声は聞こえて来る。
……どこからしているんだ?
この場にいた国民たちも分からないらしく。
ざわめきが消えなかった。
「国民たちよ! ここから去りなさい!」
ユーファジアさんがそこで呼び掛ける。
「邪神があなたたちを狙った場合に防ぎきれません!」
……ぶっちゃけるとそうじゃないんだけどな。
去って欲しい理由は、見られるとまずい、聞かれるとまずいことがあるかもしれないからだ。
だけど
「えっ、でも」
「王妃様たちを置いていくわけには」
……この場にいる人々が去ろうとしない。
多分、ここに至るまでに危機感を感じることが無かったせいだろうな。
だから「去れ」と言われても「王族たちに厄介事を押し付けて自分だけ逃げるのか」という意識が働きやすい状況なんだ。
これは別に非難されることじゃ無いとは思うけど……
こっちとしては、正直困る。
どうしたものか……
俺は法の神の言葉に
「何が正義だ! 聞いているぞお前が前の世界で何を行ったのかを!」
言い合うためだけの言葉を
「信仰心を試すために罪もない人間に病気にし、自分を信仰しない人間の悉くを残虐に殺して回った邪神が!」
思い付きで喋った。
俺には専門的な宗教的知識は無いからな。
あくまで、本物の国王がここにやってくるまでの繋ぎなんだし。
聞いた言葉であるという突きやすい言葉を入れておく。
こうすることで、俺の話ではなくなるし。
そこを指摘して全体を否定して来たら、そのやり方が誤魔化しであると返せばいい。
俺は議論に勝たなければならないんじゃない。
何度も言うが、時間を稼ぐのが目的なんだ。
俺のその言葉に
『我は正義であり、真実であり、正当である』
法の神が返した言葉。
正直予想外だった。
勝手なことを抜かすな。
そう返して来るかと思っていたのに。
俺は息を呑む。
法の神は続ける。
『正義に反するもの、真実を歪めようとするもの、正当でないもの』
『等しく、存在すべきでない。消えるべき。……これは真理である』
メチャクチャだ。
そう思った。
しかし……
同時に、こうも思ったんだ。
正義の基準。
真実の証明。
正当性の妥当さ。
それって……
明確な基準なんか無いよな、って。
だけど、無いと困るんだよ。
正義の基準が人それぞれだということが放置されれば、法律が定められなくなる。
反証がされれば崩れてしまうものが社会の支柱になっていると、社会が安定しなくなる。
絶対的に正当と言えない判断で、裁かれる罪人の立場は?
……人の社会が維持できなくなるじゃないか。
法の神って、そういう神なんじゃないのか?
無いと困るものを、無理やりにでも定義し、定めてしまう神……
「今の言葉を聞きましたか!? 逃げるのです!」
そこにユーファジアさんが再度国民に呼びかける。
「この邪神は狂っています! とてつもなく危険なのです!」
……ナイスフォロー。
流石に今の法の神の言葉を聞き
「申し訳ありません!」
「ご武運を!」
……この場に集まっていたいくらかの国民たちは、このレガリス大聖堂跡地から去って行った。