メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第154話 この国の形

『我を否定するか! 法に背く許されざる罪人め!』

 

「何が罪だ!」

 

 激昂する法の神の声に、俺は即座に言い返す。

 そのまま

 

「俺はお前の定めた法自体が全て間違っているとは特に思わない!」

 

 ここで話が終わってしまうことを防ぐために、そう続けた。

 コイツはアバドンに多数の国民を飲み込ませている。

 激昂させて話を終わらせたら、コイツが何をするか分からないだろ。

 

 法の神は

 

『ならば何故否定するのだ!?』

 

 怒りの声でそう返して来る。

 

 ……正直、少しだけホッとする。

 内心「暴走し過ぎたかもしれない」と思っていたから。

 

「この世界には、すでにお前の代役がいるからだ!」

 

 この世界には既に新しい宗教があって。

 その中で、この世界の人々はすでに独自の社会の基準を作ってる。

 

 だから

 

「お前の出る幕はここには無い!」

 

 ……これが全てだろ。

 

 それにだ。

 こいつは魔神ミトラスの話では

 

 別の世界線から来たらしい。

 コイツは「神殺し」とかいう存在に敗れてここに来たとか。

 そしていずれはその「神殺し」を討ちに行くと。

 

 ……つまりこいつは

 

 この世界を踏み台にするつもりなんだよ。

 どのみち。

 

 その時点でコイツを神に据えるなんて言語道断。

 論外だ。

 

 

 法の神は俺の言葉に再び声を荒げる。

 そして

 

『何が代役だ! 我以外にそんなものは存在せぬ!』

 

 怒りと嘲りの籠った声。

 傲慢だな。

 

「あるさ!」

 

 別に正しさの基準がこの神の定めたものである必要なんかない。

 

「あったからこの世界の社会はずっと維持されてるんだよ!」

 

 実績がある。

 前の世界が滅んで、今に至るまで。

 

 そこまでに数千年近い時間が流れている。

 おそらくそのはずだ。

 

 なのにこの世界は崩壊していない。

 

『お前たちの神は偽りの神だ!』

 

「それはお前の基準だろう! その基準が要らないって言ってるんだ!」

 

 ……さっきから。

 俺の方も冷静じゃない気がする。

 

 王の演技を続けられていない。

 

 しかし法の神はそこに気づいていないみたいだ。

 

『存在しない空っぽな存在を神に祭り上げる……涜神の罪と知れ!』

 

「社会を維持することはそこが重要では無いんだよ! そしてお前の存在理由はそこだった!」

 

 ……王自ら、神の存在を信じていない発言をする。

 ここに国民がいなくなっていて良かった。本当に。

 

 そのまま、俺と法の神は言葉をぶつけ合った。

 双方平行線だ。

 

 当たり前だけど。

 

 だけど

 

(このまま時間いっぱいまで言い合いを続ければ時間を稼げるかもしれない)

 

 多少冷静になってきて。

 自分の行動を内心振り返られるようになったときだった。

 

『もう許さぬ!』

 

 法の神の声が響いた。

 激しい怒りに震えた声が。

 

 声は続ける。

 

『お前のような王に従う民も罪を犯している!』

 

 その声には怒りと……加虐的な、悦びがあった。

 そんな法の神の言葉は

 

『魔王アバドンよ!』

 

 こういうものだった。

 

『お前の飲み込んだものを取り込んでしまえ!』

 

 ……俺の背筋が凍り着いた。

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