メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
「ちょっと待て! 我が民は関係無いだろ!」
俺はその言葉に反射的にそう言い返した。
マズイ!
不毛な議論を延々続けて、時間を稼ぐつもりだったのに。
失敗した!
俺の脳裏に、マリアの顔、その母のファビアンヌさんの顔が浮かび、血液が逆流するほどの動揺を感じた。
そんな俺と同じく
「仮にも神を名乗るなら、議論に負けたからと言って人質を殺すなんて恥ずかしく無いんですか!?」
ユーファジアさんも焦って口を出す。
黙ってる場合じゃないもんな。
「卑怯者め! 何が法の神だ!」
「狭量で最悪の存在ね! アンタヒトだったら誰にも相手にされないヤツよ!」
ヒュルケンベルグとジュナさんも加わる。
そして女性3人が、口々に法の神の決断を非難し、糾弾する。
しかし。
『黙れ。何が議論だ。我の絶対の法に口を挟むことがそもそも話にならんのだ』
法の神は全く取り合わない。
狼狽えている様子が微塵も無かった。
このまま魔王アバドンの体内で、飲み込まれたレガリス大聖堂が消化されてしまったら
中の人々は……マリアは……
「黙れとは何だ! だからお前は前の世界で神殺しとやらに倒されたんだよ! 思い上がりやがって!」
あまりにも焦り過ぎて。
俺はとうとう、そのことに触れた。
王の演技という点では不自然だろ。
絶対に法の神は疑念を持ったはず。
だが
『……黙れ』
声が凍っている。
激怒を感じた。
俺の言葉が絶対に許せなかったのか。
疑念なんてどうでもよい、という感じなのか。
『土塊の分際で、我に楯突き、我の絶対の神聖を否定して、よってたかってその邪な刃を向けてきおった』
……向こうの世界の話か?
その語る声は憎々し気で
『その行為の罪深さ、分からぬと見える……穢れた魂たちよ』
同時に、俺たちへの憎悪にも満ちていた。
『お前たちもあの神殺しを自称する身の程知らずの土塊どもと同じだ! 存在自体が許されざる者!』
そして俺たちの全てを否定して
『死ぬがいい! お前たちも、その民も!』
そう言い放つ。
そんな法の神の怒りの声。
それに呼応するように、その場に輝きが満ちた。
その輝きは俺たちの目の前で結集して
1体の巨大な悪魔の姿になった。
それは
……機械の天使!
メタリックな肌を持つ、白い翼を持った機械仕掛けの男性。
身長は十数メートル以上ある。
それが羽ばたき、上から
『我が名はメタトロン。神罰の代行者』
感情の籠らない声で名乗った。
メタトロン……
聞いたことはある気がする。
かなり高位の天使の名前だったような。
それがどういうものかは俺は分からないが
『粛清する。我が神に逆らう地獄霊どもめ』
容易い相手では絶対にない。
3人の王妃たちもそれが分かったみたいだ。
瞬時に、3人は戦闘モードになる。
全員、油断してない。
俺もそこに加わらないと……
手を抜ける相手じゃない。
それは明らかだ。
しかし……
(まだ、数時間くらいしか経ってないはず)
王の帰還。
それまで持たさないといけないのに。
この状況は……
魔王アバドンのこと。
そしてこのメタトロン。
どうしようもなくなってる。
マズい……
絶対的にマズい……
そう焦りと絶望を感じつつ、俺は仮面に手を掛けた。
もはや王の身代わりを演じる余裕が無いから。
だけど
そのときだ。
上空から、ごおおおお、という音が聞こえて来た。