メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第16話 適材適所

 その場ですぐに俺たちの仕事が始まった。

 

「取り敢えず、まずは破損した魔導器を全て出して下さい」

 

 俺の父親は、穏やかだけど、有無を言わさない口調でそうユージフたちに伝える。

 ユージフたちは……

 

「はい、ただいま」

 

 そう言いつつ、家に引っ込み5本の杖を持って来た。

 

 杖型の魔導器か。

 

 先端部分に宝石のようなものが嵌ってる。

 

「……5本……発注したのは8本ですよね? あと3本は……?」

 

 俺の父親は、書類を片手に穏やかではあるが甘さの無い口調でユージフたちに言葉を投げ掛ける。

 

「……木っ端微塵に」

 

 すると村長のユージフが、眼を逸らしつつそんな返しをした。

 

 どんな状況だよ。

 1本だけならともかく、3つも爆発したらそれ、間違いなく欠陥品だろ。

 リコール対象だ。

 

 その辺は俺の父親も同じように思ったようだ。

 

「木っ端微塵ですか。どういう状況で?」

 

 ……容赦ない。

 俺の父親の言葉にユージフの目が泳いでいる。

 

 嘘を吐いているな。

 あまりにも分かりやす過ぎる。

 

「……説明できないなら、魔導器の補充の件は無しです。会社に持ち帰って国への報告も検討します」

 

 俺の父親は眉間に皺を寄せながら、手の書類を自分の鞄に仕舞おうとする。

 その様子に

 

「待ってくれ! 魔導器が無いと我々は危険なゴボルンや恐化生物相手に怯える以外なくなる!」

 

 ユージフたちは、まるで悲鳴のような声で縋る言葉を発して来る。

 

 だけど父親は

 

「……だったら嘘を吐くのをやめていただけますか? 魔導器の管理は厳格管理が原則です。当然ですね。一般に使用できる武器としては最高に近いものなんですし」

 

 ……全く動じていなかった。

 こっちで要求していることを満たしていないなら、お前たちなんぞどうなっても知らない。

 

 言葉にはしていないけど、裏でそう言ってるのが目で伝わって来る。

 

 ……悪いが、同感だ。

 前の世界でも戦略物資の取り扱いはシビアだった。

 

 例えば戦略物資の発注量が異常であることの納得できる説明が無いなら、その結果相手国に何千人失業者が出ると聞かされようと、国は輸出を止めていた気がする。

 

 当たり前なんだよな。

 無制限にそんなものを売りまくったら、核兵器だとか化学兵器だとかの危険なものを好き放題に作られてしまうんだから。

 

 ……気が付くとユージフたちは、その場で土下座をしていた。

 それを見下ろす俺の父親の目は冷たかった。

 眉ひとつ動かさずに

 

「……そんな真似をされても、駄目なものは駄目なんです」

 

 これが言える人間だから、ベルギッタは俺の父親を武器としての魔導器関連の交渉役に使ってるのか。

 

 決して情で動かない。

 脅されても動かないし、当然今回みたいな泣き落としも無視できる。

 管理が厳格なモノに関する交渉役にうってつけだ。

 

 適材適所。

 

 俺はその事実に思い当たったとき。

 何故だか、少しだけ「嬉しい」と思ってしまった。

 

「我々ユージフは苦しい立場で、ウィル陛下御即位後に9種族平等令が……」

 

「今回のことは種族差別とは無関係です。話をすり替えないように」

 

 父親はユージフたちの泣き落としを全部言わせないで切り捨てた。

 何を言われようと、条件を満たしていないのだから売れない。

 それを変えることはないということか。

 

 ……顔を上げた村長ユージフの顔には悔しそうな表情が浮かんでいる気がした。

 彼ら、蝙蝠の獣人だからね。

 読み取れる表情の正確性に俺は自信を持てなかったから、あくまで気がするだけ。

 

 だけどそれは間違いでは無かったようだ。

 

 その後に

 

「アンタ! エルダ族だろう!? 少しは我々の立場を……」

 

 とうとう激高したのか。

 村長ユージフが声を荒げたから。

 

 こりゃあ、あまりいい結果にはならないな。

 

 無理なものは無理だという俺の父親の言葉には、今回は同感だし。

 相手が自分たちは立場が弱いという一点張りなら、ろくなことにはならない。

 

 そう思ったときだった。

 

 ギャアアアアア!

 ニ、ニンゲンだ!

 

 コッコの奴がニンゲンに!

 

 そんな叫び声が聞こえて来たんだ。

 

 ……ニンゲン?

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