メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
欲しかった人材が2人も来てくれた。
これ以上は守り抜くにしても難しくなる。
時間も無いし。
行くしかない。
「悪いがすぐに行く。ついて来てくれ!」
俺は走りだした。
その後をマリアとオヴィが追いかけて来てくれる。
全力では走らない。
彼女らをバルコニーまで守らないといけないから。
大聖堂の入り口を潜り抜け、階段を探す。
中は重大な建築物らしく、威厳を感じる内装で。
しっかりした敷物が敷かれてて、装飾がされている。
バルコニーの位置は外から確かめているけど、俺は中に入ったことは無いからな。
まず案内板が無いかを探さないといけない。
だけど
「こっちです」
先にマリアが動いてくれた。
そこに迷いが無かった。
えっ、と思ったけど。
分かるのか? と訊ねる前に
「私、レガリス大聖堂のバルコニーを見せてもらったことがあるんです」
彼女は言ったんだ。
「国王陛下……お兄ちゃんに」
そんな、衝撃の一言を。
「私のお父さんは、お兄ちゃんの仲間だったんです」
レガリス大聖堂のバルコニーに通じる通路を走りながら、マリアは教えてくれた。
自分の父親が、国王がまだ王を決める戦いに身を投じる前に仲間だったんだ、と。
彼女の父親は……
元々、王族付きの護衛騎士で。
当時、国王にとって代わる勢力として頭角を現していたルイを暗殺するために秘密裏に動いていたそうだ。
だけど
「王を決める戦いに参戦した者には保護の鎖という加護があったんです」
保護の鎖というのは「王を決める戦いに勝ち抜く可能性がある位階にある参加者が、暗殺で排除されないため」の魔法で。
平たく言うと、害意を持って近づいた者を全自動で拘束するという魔法なんだそうだ。
そのせいで、暗殺が失敗したらしい。
そして暗殺者が暗殺に失敗してしまえば、運命は決まってる。
無論、処刑だ。
彼女の父親は、衆人環視の中でルイによって喉を切られ、絶命した。
その後
「私のお父さんを殺した人が、たくさんの人に支持されていったんです」
ルイは王を決める戦いを勝ち抜く者として最も有力視されていた。
ルイは厳しいが、種族によって差別をせず。
加えて本人もとても有能だ。
彼ならこの腐りきったユークロニア連合王国を、理想国家にしてくれるかもしれない……
そう思う人が、こぞって彼を支持したからだ。
……気持ちは分からないでもないさ。
環境が苦しいと、強烈なリーダーシップを示して、結果を出して来る人間が目の前に出て来て。
それが手を差し伸べて来たら、握っちゃうだろ。
実際、俺の父親が前の世界で支持されていったのも、構造はほぼ一緒だったと思う。
あのときの日本も「誰が総理大臣になってもこの状況は変わらない」と思われていたときに。
強烈なリーダーシップを示したのが俺の父親なんだ。
しかし、マリアは辛かったはずだ。
自分の父親の仇が神のように崇められていたなんて。
だけど
「でも、そんな状況を……」
マリアの声に希望が満ちる。
「あの日……王を決める戦いの決着がついた日……お兄ちゃんは」
声が震えていた。
「この王都の上で、魔王になったあの人をたった1人で打ち破ってくれた……」
……それは伝え聞いてる。
この王都の上空で、凶悪な
それを目の前で見たこの国の国民が、王をこぞって支持するのは理解できた。
そのぐらいの、熱狂できる状況だ。
それが彼女にとっては
父親の無念を晴らしてくれる一撃で。
自分の父親の死に、意味を持たせてくれた一撃だったんだ。
「だから私は、ここでお兄ちゃんのために戦えるなら……」
俺たちは階段を上っている。
怪盗服を着ている俺は兎も角、マリアとオヴィ、2人は少し息が切れていた。
だけど休まずに階段を早足で駆け上がっていく。
そこに俺は、彼女ら2人の想いの強さを感じた。
「何も怖くないです……絶対に、ゴローさんの言ったことをやり遂げて見せますから……!」
「私も同じです!」
そう、彼女らがその言葉を発したとき。
俺たちは階段の最後の1段を上り切り。
目の前が開けたバルコニー……
レガリス大聖堂の、国王のお出ましに使用するバルコニーに通じる扉の前に辿り着いたんだ。