メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
「この先にバルコニーが……」
俺は緊張し、鼓動が速くなった。
この先に大きなバルコニーがある。
国王が即位宣言をしたという場所が。
法の神が反応しないと考えるのはやめておいた方が良いだろう。
呪詛を受けることを避けるために、自分の真の名を削除するような神だ。
馬鹿では無いだろ。
相手の力を低く見積もるべきじゃない。
それは前の世界で嫌というほど味わった。
自前のペルソナ能力と、他人を騙すために演技する自分の力を過信して、俺は
「まず、僕が外に出る」
振り返らずに2人に言う。
そして
「大丈夫そうなら呼ぶから、そうなったら頼む」
バルコニーの一番目立つ場所に出て、国王たちにも見えるように祈りを捧げる。
それができれば君臣一体が成る。
それが女神の言葉。
俺の言葉に2人は
「分かりました」
「お願いします」
緊張した固い声で返して来た。
2人も楽観視してないな。
……でも、絶対に成功させるぞ。
決意と共に
俺は扉に手を掛け
開け放った。
バルコニーには風が吹いていた。
風避けの工夫は無いみたいだ。
……ここに立つ理由が、広く国民への呼び掛けるためだから
見えやすさを優先した結果かね。
そしてその周囲には
翼を持つ人影……天使が待ち構えていた。
途中で数えるのを放棄するほどの数が
……ちょっと多いな。
「来たか愚かな国王の手先が」
「思い知らせてくれる」
「邪な企みが成就できると思うな」
エンジェル、アークエンジェル、パワー……
後は記憶を探るのをやめた。
そんな余裕はない。
「掛かって来いよ……悪党の力をみせてやる……無様な負け犬に媚び諂ってる正義気取りのゴミ共が!」
俺はその言葉を叩きつけると共に、怪盗服を黒に切り替え
自分の仮面を引き剝がし
「ヘリワード!」
……俺の最強のペルソナ……
黒い狩人・ヘリワードを召喚した。
「死ぬがいい!」
その言葉と共に、天使たちが襲ってくる。
俺は自身の武装のサーベルを引き抜いて応戦しつつ。
ヘリワードの弓で、迎撃をする。
ヘリワードの矢は的確に天使を射貫いていく。
ミスショットは一射も無い。
だけど
(マズい。多過ぎる)
俺もヘリワードも、数を殲滅するのには向いてない。
範囲攻撃魔法も無くは無いが、連発するのには向いてないんだ。
これだけの数を1人で処理するのは無理があるかもしれない……
「終わりだ罪人め!」
そして。
アークエンジェルが2体、同時に俺に斬り掛かって来た。
俺は1体の剣をサーベルで受け流し、空いた右手で銃を抜き、もう片方を銃撃した。
……俺は元々左利きで、社会に適応するために両利きにしていたからな。
こう言う芸当が可能なんだよ。
拳銃に近い俺の銃は、その銃口より赤黒い光線を発射する。
白い怪盗服のときとは違い、より殺意を剝き出しにした俺の戦闘形態であるこの姿……
それに相応しい銃撃だ。
「ぐおおおおっ!?」
アークエンジェルはその一撃を急所に受けたのか、塵になって消滅する。
それに向けて俺は
「ヒャハハハハッ! 死ぬのはお前たちだッ!」
狂ったように笑って見せた。
威嚇の意味も込め。
俺は殺意を隠さない。
……この場は勝つのが最優先だ。
なりふり構っていられるか。
2人も分かってくれるはず……
だが……
数が多過ぎる……!
バルコニー周辺の空域を舞う天使たちの姿。
その数に心が折れないように自分を奮い立たせる……
あのとき……
心の怪盗団のために捨て石になったときが頭を過る。
今は時間稼ぎさえ出来れば良かったあのときとは違う。
この場は絶対に勝たなきゃいけないんだ……!
だから絶対に負けられない……!
歯を食いしばり、戦い続ける。
そのときだった。
ヘリワードの弓で射貫かれたエンジェルたち以外の天使の一団が、大きな銃声とともに撃ち抜かれ、墜落していく。
えっ、と思う。
そこに
「ゴローよ! 助太刀するぞ!」
声が響いたんだ。
力強い男の声だ。
それは……