メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
~ユークロニア連合王国国王・ウイル視点~
「諦めて死ぬがいい! 足掻けば足掻くほど罪が大きくなるぞ!」
異世界の邪神・法の神は破壊光球を投げつけてくる。
その方向には共に戦ってくれているマサヨシの姿があった。
させない!
僕はそのために、八咫鏡を操り魔法防御壁を全開にする。
マサヨシを守るためだ。
宙を舞う3つの鏡が発生させる輝く防護壁がマサヨシを守る。
爆裂する破壊光球。
だが、その波動はマサヨシを飲み込むことは無い。
「国王よ感謝する!」
マサヨシはそう言いつつ、的を絞らせないために動き続けている。
「小癪な!」
邪神は僕に憎々し気な目を向ける。
この攻撃も凄まじい威力だが、まだマシな部類。
この邪神の攻撃で何より厄介なのは落雷だ。
電撃じゃ無い。
この邪神は本物の落雷と比べて遜色ないものを、魔法として操れるんだ。
魔法にはカンデオンという雷撃魔法が存在するが、その比じゃ無い。
直撃したら終わりだろう。
それが余波で理解できたんだ。
『ウイル王よ。
僕の傍についていてくれる旧世界の女神が、この雷撃についてそう教えてくれた。
神器の剣……草薙剣を受け取るとき。
この剣を武器として握る限り、使い手は他者に負けることが無い。
具体的に言うとそれは、敵からの攻撃を全て無効化すること。
そう聞いていたが。
コイツにはそれが無効だという。
その理由が「こいつの雷撃が本物の雷と同じだから」
……戦いのさなか、突然雷に打たれて死亡する。
それは敗北ではなく事故死である。
そういうことなのかもしれない。
雷を発しているのはこの邪神だが、この邪神はその事実を捻じ曲げることが可能なんだろう。
これは自分の攻撃魔法ではなく、自然の雷と同質だ、と。
旧世界を単独で牛耳っていたという神だから。
そして
その捻じ曲げられた事実を元に戻すために
女神は手を打ってくれたらしい。
そのために、ゴローがこの場を離れて
レガリス大聖堂に向かってくれた。
……君臣一体。
その説明を詳しく聞いている時間が無かったが。
それを実現すれば、草薙剣が事実に正しく応え、その真価を正しく発揮するという……
ゴロー。
今、共に戦ってくれている男・マサヨシの息子らしい。
その割には彼ら2人には親子の繋がりが無かったように見えたけど、旧世界ではそれが普通なんだろうか?
前にストロールに彼らのことについて訊ねたら
そういうものなんだと思うぞ。俺たちの世界とは違うんだし。
ほっといてやれ。陛下。
歯切れ悪い表情で、そんな言い方の答えを僕に返して来た。
……ストロールは何か知ってるのかもしれないな。
詳しく訊くのはやめておいたが。
ストロールが困るかもしれないから。
そのときだ
「邪悪の王! 何を企んでいようと無駄だ!」
僕たちに向けて法の神が吠えた。
僕らが決定的な隙を見せないことに業を煮やしたのか。
「お前たちの企みなど、我の前では無意味! 我は神! 全能にして正義! そして真理だ!」
目を血走らせながら言い放つ。
……正義の基準の神。
そのことについては、僕は理解はしている。
そういうものが求められた理由も。
王になるまで。
そしてなってから。
様々な人の持つ事情や信念に触れて来た。
仲間の受けた悲惨な仕打ちに対して、一矢報いるために刃を握った男がいた。
故郷を救うために有力者を騙すことを繰り返していた男がいた。
妹を守るために全ての罪を背負い、悪に徹した聖女がいた。
嘘を嫌い、世界を破滅させようとした男もいた。
……悪と断じるには複雑すぎる事情。
1つや2つじゃない。
たくさんあるんだ。
だから明確な基準を定めるために神が求められるのは理解できなくもない。
だけど
「……神は表舞台に出て来るべきじゃない。引っ込んでくれ」
神は基準。
ルールかもしれない。
だけど……
ルールが意志を持って、言葉を発し、暗躍するのは許容できない。
神は姿を現してはいけないんだ!
僕の言葉に返すように
法の神が、腹部についた人の頭の口を大きく開いた。
「ぬかせえ!」
同時に巻き起こる魔力の波動。
来る……!
法の神の天雷だ。
その規模……最大級かもしれない。
バチバチと稲光を起こし、法の神の腹部についた複数の頭……
蛇、蜥蜴、飛蝗……
そして人の頭。
その人の頭……顔が僕に向けて口を開き、その口腔内部に魔力を集中させている。
あれを完全に……フルパワーで放たれたら、僕は防げないかもしれない。
そう、なんとなく理解する。
ならばその前に倒すしかない。
だけども……
(その前に天雷を発動され、直撃したらそれでも終わりだ)
どうする……?
僕は決断を迫られた。
危険を無視し、今飛び込むべきか?
それともあくまで隙を伺うべきなのか……?
だけど
そのときだ。
僕のアーキタイプが手にしている剣……草薙剣が輝き始めた!