メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第3章:惺教の女
第21話 報告


 王都に帰還して。

 最初にやったことは

 

「……なるほど」

 

 俺たちの目の前に、白い髪と褐色の肌を持つスーツ姿のローグ女性……

 ベルギッタ・ライケンが居る。

 

 ここはライケン魔道商会の会長室で。

 

 ベルギッタの私室だった。

 

 会長の私室だけあって、調度品は一流の風格を持っていた。

 

 ベルギッタが座っている椅子も、その前に置かれたデスクも。

 

 壁際の赤いソファも、ローデスクも、本棚も、壁の絵画も。

 

 どうみても超高級品に見えた。

 さすがは国から最先端の武器である魔導器の販売を許可されている大商人の私室だ……

 

「つまり、ユージフがニンゲンに変化したんだな? ……ふむ」

 

 ベルギッタは膝の上の小型犬を撫でていた。

 一見、パピヨン犬に似てる気がしたけど。

 何か微妙に違う気がする。

 特に色合いが。犬に詳しいわけではないけど、なんとなく。

 

 まぁ、ここは異世界なんだから、それは大した問題じゃないけどな。

 今更って感じだ。

 

 それよりも

 

 ベルギッタは、ユージフがニンゲンに変化したという俺たちの報告に対して、あまり驚いていないように見えた。

 

 まるで、初めて聞くことじゃないみたいだ。

 なので俺は

 

「……ニンゲンになってしまうのは、僕らエルダ族だけだと聞かされていたんですが」

 

 ユージフたちから聞いた話を常識であると仮定し。

 そう訊ねて探りを入れた。

 

 彼女は俺の目を見て

 

「……それは勝手な憶測にすぎない。実際に、大衆の目の前でニンゲン化した実績があるのが、たまたまエルダ族だったというだけの話」

 

 そう返して来る。

 

 えっと

 

「でも、会長」

 

 俺は食い下がるムーブで、ベルギッタが考えていることを探る。

 彼女は

 

「……あれは大逆者ルイが、当時のウィル陛下を貶めるために言いふらした出鱈目だ。信用するべきではない」

 

 大逆者ルイ……

 確か、今の国王が即位する前に。

 その王位を賭けて、当時の現国王と殺し合いを演じたという男の名前だっけ。

 

 この国では数年前に「王の魔法」というものにより、数か月の猶予の後に最も支持を集めた者を種族血筋に関係なく王にするというゲームが開催された。

 

 そのときに、現国王と最後まで争い、最後現国王の手によって討ち取られた男の名前が確か「ルイ・グイアベルン」なんだ。

 

 元々クレマール族の将校で。

 軍属の身でありながら、この国の前国王の命を奪った大罪人。

 そんな男が、次の王を決めるゲームに参加する資格を得るなんて。

 まぁ、とんでもないゲームだよな。

 

 ゲームというか、選挙か。

 

 その選挙の詳細は本で少し確認しただけだから、あまり知らないんだけどさ。

 当然、ルイに関しても。

 

 なるほど……

 

 ルイに関して調べれば、色々分かりそうな気がするな。

 直近で自分に関わらないと思って、あまり調べていなかったから。

 

「そうですか。お気遣いありがとうございます会長」

 

 俺はそう言って頭を下げる。

 構図的には「エルダ族を化け物に変身する危険な種族と捉えるのは間違いだ」と言って貰えたわけだから。

 

 礼は言うべきだよな。

 

 ……しかし。

 この人、周囲の意見って奴に流されたりしないのかな?

 

 おそらく常識なんじゃないのか?

 エルダ族しかニンゲンにならない、っていう話は。

 

「会長。あの村に納品する魔導器は……」

 

「分かっている。今までは最安価である火炎属性の魔導器で事足りたが、ニンゲンが発生したとなるとそれでは不安だな……」

 

 そして俺の目の前で、俺の父親とベルギッタが会話をはじめた。

 あの村に引き渡す5本の魔導器の選定についてだ。

 

 真剣にベルギッタと話し合っている俺の父親。

 

 ……まぁ、悪徳だったとはいえ、かつては総理大臣を目指した男なんだ。

 本気になればこういうの、得意なんだろうな。

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