メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第23話 鎧戦車とは

 鎧戦車というやつは、車輪で走る乗り物じゃないらしい。

 勝手に船に自動車の車輪を備えたものを想像していたんだけど。

 

 脚で走るみたいだ。

 船っぽいものに昆虫の脚を思わせるものが、複数ついているんだ。

 

 この鎧戦車は、6つ脚がついていた。

 

「……脚で走るのか」

 

「えっと、ゴローさんは鎧戦車はじめてなんですか?」

 

 リナが俺の呟きに反応して来た。

 

 俺はちょっと迷ったが頷いて

 

「あまり裕福な場所の生まれじゃなくてね」

 

 そう返す。

 まあ嫌なことに、この言葉自体は嘘じゃない。

 

 俺のそんな言葉に彼女は

 

 そうですか、と返し

 

「荒野を駆け抜けるためには、車輪では都合悪いんですよー」

 

 だから脚。

 そういうことなんだそうだ。

 

 でもそれって……

 

「……かなり揺れないか?」

 

「ですねぇ。でも、それをどこまで抑えられるかが技師の腕の見せ所なんですよー」

 

 俺の感じた疑問に、リナは目を輝かせて返答して来る。

 

 それを見て

 

 ……コイツ、根っからの職人なんだな。

 それだけは確信した。

 

 だからまぁ、俺は

 

 このリナという人物を、ある程度信用することにした。

 仕事に関して嘘を吐いたりする人物じゃ無さそうだ。

 

 

 

 俺たちは鎧戦車に乗り込み、王都を離れて。

 南の方にあるマルティラという街を目指す。

 

 マルティラに着くまでの日数はおよそ4日。

 だいぶ長いが、それでも馬車よりはずっと早いらしい。

 

 そして乗ってみると、揺れは思ったほど酷くなかった。

 せいぜい、ちょっと運転の荒いバスレベル。

 

 絶叫マシンレベルを想像していた俺は、素直にその技術力に感心した。

 前の世界には無かった乗り物だけどさ……これは正直すごいな。

 

 鎧戦車の中は、生活できるようになってて。

 食事をするところ、寝るところ。

 トイレに風呂まであった。

 

 で……

 

 移動中は、リナは操縦席に引っ込んでいる。

 彼女は技師兼操縦士なんだ。

 社長なのに。

 

 そのせいで……

 

 

 俺と、俺の父親は

 

 移動中、2人きりなんだな。

 

 ……正直、気まずいというか。

 気分は良くはない。

 

 俺はコイツに母親を捨てられたし。

 

 だからといって、その恨みを口にしても。

 コイツの口から「お前の母親に手を出したことを後悔している。悪かった」なんて言われたら……

 

 それはそれで嫌だ。

 

 なので

 

「……なぁ」

 

 俺の呼び掛けに、ローテーブルを挟んで向かいの席で本を読んでいた俺の父親が目を向けて来る。

 

 それを確認し、あとを続ける俺。

 それは……

 

「何でアンタこの世界に来たんだ?」

 

 なんとなくだ。

 なんとなく、それを口にした。

 

 振る舞いから見て、コイツは怪盗団の改心を受けて性格の歪みが修正されたんだと思うんだが。

 

 どういう経緯で、この世界に来ることになったのか。

 

 ……赤の他人に訊くなら、それは許されないかもしれないが。

 

 コイツは俺の父親なんだし。

 しかも、俺がこっちに来る原因も作ったわけだし。

 

 これくらい、訊いてもいいだろ。

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