メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
「俺はアンタの策略で、こっちに来ることになったんだ」
俺は自分の父親に目を向けて、反応を確認しつつ
「つまり俺のは知ってるんだから、アンタがここに来た理由くらい教えろよ」
そう口にした。
別に答えは期待していない。
半分嫌がらせ。
ちょっと苦しめてやろう。
その程度の軽い気持ちだ。
俺の父親は俺の言葉に
「……言い訳はしない。俺は確かに最低の男だった。悪かった」
……表情が少しだけ硬くなったが。
声は少しも震えずに。
……またかよ。
俺に詫びて来た。
ずっとこの調子だ。
……こんなことをされると、まるでこっちが悪いような気になる。
コイツに対しては俺は被害者なんだよ。
理不尽だろ。
なので渋々俺は、それ以上訊くのを止め……ようとした。
だけど
「……本家の方から刺客が送られて来たんだ。遺書を書いて自殺しろと言われたよ……」
俺の父親が語り出した理由は。
俺も予想していない一言だった。
「本家って」
獅童家本家のことか……?
全然知らなかったことだったから、俺は動揺した。
そんな俺を見て、俺の父親は
そう言えば言ったことが無かったな、という顔になり
「……俺の家は、政治家を輩出する家なんだ」
説明してくれたよ。
獅童の家は代々政治家の家なんだ、と。
俺はそんなことも知らなかったのか。
名探偵、なんて言われていたくせに。
……ペルソナ能力でコイツに取り入り、コイツに認められることだけを考えていたから。
父親の実家がどういう家なのかを調べようとすらしていなかった。
「俺は一時期総理大臣が射程に入ったので、そのときは本家の人間に期待をされていたんだ」
けれど。
俺の父親は怪盗団の改心を受けて、失脚した。
それだけならただの破滅だったけど……
「俺にのうのうと生きていられると、今後一族から政治家は2度と出ないかもしれない」
だから遺書に「自分の罪を全て背負って逝かせてもらいます」と書けと要求された。
権力を悪用し、殺人を含んだ大悪事。
そんなもの、どうしようもない。
……やらかした奴が死んでお詫びでもしない限り。
「……まあ、自業自得の結果だな。自分がやったことが全部自分に返って来ただけの話だ」
そのとき俺の父親は。
少しだけ笑った。
他者を見下すときの冷笑じゃない。
苦笑。
自嘲の笑みか。
……ペルソナ能力に目覚めて。
コイツに自分を売り込んでからさ……
かなり長いこと近くに居たけど。
コイツのこういう顔は、見たことが無かったな。
……その後。
俺とコイツはあまり会話せずに過ごした。
時間にして3日くらいか。
ただ、何故かそれほど地獄には感じなかった。
理由はイマイチ分からないんだけど。