メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第26話 俺の罪

『今はまだ死ぬわけには』

 

『私はまだ娘を一人前に育て上げていないの!』

 

 ……一色若葉という女性のシャドウが最期に発した言葉。

 それがずっと心に残ってる。

 

 

 

 前の世界で。

 俺の父親に命じられて、俺はある研究者の研究を奪いに行った。

 

 その研究者の名前が一色若葉。

 

 未婚のシングルマザーの研究者。

 最初は「結婚もしないで子供を産んだんだから、性に奔放な女なのか」と思ったんだけど。

 目的のために彼女の精神世界に入って、その理由が分かった。

 

 ……どうも、親戚の男に乱暴されたのが原因のようだった。

 

 彼女は「親戚だから」と油断してしまい、乱暴されて娘を身籠ってしまったらしい。

 

 彼女の親戚はゴミ揃い。

 前歴がある奴が何人かいる。

 

 そいつらはゴミだというのは分かっていたけど、それでも血縁者だからと。

 彼女が受け入れてやっていたら、その仕打ち。

 

 ……酷いな。

 

 内心俺はそう思ったけど。

 そのときの俺は自分のことばっかりで。

 

 俺はそんな彼女の精神本体……生きる欲望……自我とも言える存在……シャドウを殺したんだ。

 

 シャドウを殺せば、肉体の方を好き放題に一定期間操ることが可能になる。

 それには文字通り肉体的なことだけでなく、知識面も含まれる。

 

 知ってることを洗いざらい吐けとか。

 俺の質問に正直に答えろとか。

 

 ……お前の研究内容を素人にも理解できるように、分かりやすく教えろとか。

 

 そうしない限り、研究者の研究成果をそっくり丸ごといただくなんて芸当、出来ないんだ。

 研究者本人が書いた研究資料を奪うだけでは通常、足りない。

 

 一番大事なこと、最先端の気づきが資料の中に無いかもしれないじゃないか。

 だから正直に、自発的に言ってもらうしかないんだよ、

 

 そうしないと。

 

 仮に何かで脅してそうさせても、土壇場で致命的な嘘を教えて来るかもしれないだろ。

 最後の抵抗で。

 

 だから

 

「仕方ない」

 

「これしか方法が無い」

 

「アイツに取り入り、外せない人材に俺が成るために、避けられない事なんだ」

 

 そう、自分に言い聞かせて。

 俺は命乞いする彼女のシャドウを殺した。

 

 そのときの最期の言葉が忘れられない。

 

 彼女は最期に、研究成果が悪用されることを嘆くよりも。

 娘を大人にまで育てられていないことに苦しんだ。

 

 ……無理矢理孕まさせて産んだ子に、そこまでの愛情を注いでいるなんて。

 衝撃を受けたよ。

 

 シャドウは精神の本体で、生きる欲望で、自我みたいなもんだから。

 構造上、本音しか喋らない。

 

 だから助かるために、出まかせを言うことは構造上無いんだ。

 

 だから俺は衝撃を受けたんだ。

 受けたけど……

 

 俺は自分の目的のために彼女を殺した。

 

 俺に殺されて消滅する寸前まで。

 彼女のシャドウは自分の死よりも、娘の将来が閉ざされることを嘆いていた。

 

 ……ずっと忘れられなくて。

 目を逸らして来たこと。

 

 そんな彼女とそっくりなクレマール族の女性が、いま男2人に責められている。

 

 そんなの

 

「ちょっと待って下さいよ。女性に何をしているんですか!」

 

 ……割り込む以外、無いじゃ無いか。

 

 俺は男たち2人の前に、割り込むように立ちはだかった。




一色若葉周りの設定は、ペルソナ5無印の原作やってて

「若葉の親戚はろくでなしばかりだった」(佐倉惣治郎談)

この辺からの想像です。
双葉のお母さんが男の口だけの口説き文句に騙されて、未婚で子供を産んだというのがどうしても想像できなくてね。

だから私の想像で、公式設定ではありません。
念のため。
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