メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
『今はまだ死ぬわけには』
『私はまだ娘を一人前に育て上げていないの!』
……一色若葉という女性のシャドウが最期に発した言葉。
それがずっと心に残ってる。
前の世界で。
俺の父親に命じられて、俺はある研究者の研究を奪いに行った。
その研究者の名前が一色若葉。
未婚のシングルマザーの研究者。
最初は「結婚もしないで子供を産んだんだから、性に奔放な女なのか」と思ったんだけど。
目的のために彼女の精神世界に入って、その理由が分かった。
……どうも、親戚の男に乱暴されたのが原因のようだった。
彼女は「親戚だから」と油断してしまい、乱暴されて娘を身籠ってしまったらしい。
彼女の親戚はゴミ揃い。
前歴がある奴が何人かいる。
そいつらはゴミだというのは分かっていたけど、それでも血縁者だからと。
彼女が受け入れてやっていたら、その仕打ち。
……酷いな。
内心俺はそう思ったけど。
そのときの俺は自分のことばっかりで。
俺はそんな彼女の精神本体……生きる欲望……自我とも言える存在……シャドウを殺したんだ。
シャドウを殺せば、肉体の方を好き放題に一定期間操ることが可能になる。
それには文字通り肉体的なことだけでなく、知識面も含まれる。
知ってることを洗いざらい吐けとか。
俺の質問に正直に答えろとか。
……お前の研究内容を素人にも理解できるように、分かりやすく教えろとか。
そうしない限り、研究者の研究成果をそっくり丸ごといただくなんて芸当、出来ないんだ。
研究者本人が書いた研究資料を奪うだけでは通常、足りない。
一番大事なこと、最先端の気づきが資料の中に無いかもしれないじゃないか。
だから正直に、自発的に言ってもらうしかないんだよ、
そうしないと。
仮に何かで脅してそうさせても、土壇場で致命的な嘘を教えて来るかもしれないだろ。
最後の抵抗で。
だから
「仕方ない」
「これしか方法が無い」
「アイツに取り入り、外せない人材に俺が成るために、避けられない事なんだ」
そう、自分に言い聞かせて。
俺は命乞いする彼女のシャドウを殺した。
そのときの最期の言葉が忘れられない。
彼女は最期に、研究成果が悪用されることを嘆くよりも。
娘を大人にまで育てられていないことに苦しんだ。
……無理矢理孕まさせて産んだ子に、そこまでの愛情を注いでいるなんて。
衝撃を受けたよ。
シャドウは精神の本体で、生きる欲望で、自我みたいなもんだから。
構造上、本音しか喋らない。
だから助かるために、出まかせを言うことは構造上無いんだ。
だから俺は衝撃を受けたんだ。
受けたけど……
俺は自分の目的のために彼女を殺した。
俺に殺されて消滅する寸前まで。
彼女のシャドウは自分の死よりも、娘の将来が閉ざされることを嘆いていた。
……ずっと忘れられなくて。
目を逸らして来たこと。
そんな彼女とそっくりなクレマール族の女性が、いま男2人に責められている。
そんなの
「ちょっと待って下さいよ。女性に何をしているんですか!」
……割り込む以外、無いじゃ無いか。
俺は男たち2人の前に、割り込むように立ちはだかった。
一色若葉周りの設定は、ペルソナ5無印の原作やってて
「若葉の親戚はろくでなしばかりだった」(佐倉惣治郎談)
この辺からの想像です。
双葉のお母さんが男の口だけの口説き文句に騙されて、未婚で子供を産んだというのがどうしても想像できなくてね。
だから私の想像で、公式設定ではありません。
念のため。