メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第27話 惺教

「何だお前!?」

 

「邪魔するなよ!」

 

 ルサント族の男たちは俺に激昂している。

 女1人を2人掛かりで責めていた彼らだけど。

 彼らは見た感じ、性格破綻者に見えなかった。

 

 顔つきがさ、真っ当さを感じるんだ。

 真面目で誠実そうに見える。

 

 俺が言うのもなんだけど、顔つきに人格の一部は出る。

 顔に出ないのは、俺みたいに意図的に覆い隠しているタイプだ。

 

 そしてそういうタイプは、こういう風に女1人を2人掛かりで責めるような真似はしないはずだ。

 ずる賢いからな。

 

「……って、よく見たらお前エルダ族じゃないか! 何でお前がコイツを庇うんだ!?」

 

「前の陛下の時代に、散々お前らエルダ族を不浄の種族って言っていた惺教(せいきょう)だぞこいつは!?」

 

 ……セイキョウ……?

 

 生活協同組合のことじゃないよな……?

 

 知らない言葉だ。

 

 多分、彼らの間では常識的な存在なんだろう。

 そしてそれは、昔は幅を利かせていて。

 今は没落している……

 

 俺は柔和な笑みを浮かべつつ、頭をフル回転させていた。

 

 怒りの対象を知らない状態で、彼らを納得させて引き下がらせる言葉……

 

 彼らは俺が彼女を庇うのが変だと言っている。

 その理由は、昔散々エルダ族を差別した連中だからだと。

 

 セイキョウってのは、多分何かの組織の名前だ。

 

 何の組織なのか……?

 

「ええ、僕も酷い目に遭いました。銀貨を使うのをやめろとも」

 

 俺は影のある笑みを浮かべて、昔を思い返す演技をしながらそう返す。

 王都で実際に受けた差別から拾ったネタだ。

 

 説得力はあるだろ。

 

「何だよそれ、わけわかんねえな」

 

「酷過ぎるだろ」

 

 ルサント族の男たちは俺に同情的な視線を向けてきた。

 俺はその視線を受けながら頷き

 

「だから誰かが責められてるのを見るのは嫌なんです。この人は別に法に触れる行為をしたわけではないのでしょう?」

 

 法に触れていないと決めつけたのは、彼らが役人を呼んで来てないからだ。

 それは役人を動かすことが出来ないからだろ。

 

 もし明確な違法行為をしていたのであれば、彼らは迷わず呼ぶはずだ。

 自分の身体を張る意味がないんだから。

 

 俺の言葉に

 

「……惺教はもう国教じゃ無いんだよ。それはもう、ウィル陛下が惺教は駄目だってお気持ちを持っていらしゃるってことだろ」

 

 セイキョウは国教……

 つまりセイキョウは宗教の名前か。

 

 なるほど。

 

 俺は見えなかった情報の一部が明らかになったことに対して、ある種の達成感を感じつつ

 

「だったら何で叩き潰さなかったんですか? ……陛下は国教の座を惺教から剥奪しても、信教の自由だけは残したんですよ」

 

 こう返す。

 

 するとルサントの男たちは苦々しい顔で

 

「……布教していたぞ?」

 

 布教……

 布教ね……

 

 それに対して俺は

 

「聞かなきゃ良いんですよ。無理矢理聞かせようとしていない限り、問題は無いと思います」

 

 そう。

 拒否している相手に強制的に話を聞かせるのが問題なだけで、そのセイキョウとやらの素晴らしさを公に宣伝するのは問題ではない。

 それもダメならそれはもう宗教弾圧だろ。

 

 この世界に信教の自由というものがあるのかどうか知らないが、この国の現国王が法律でセイキョウの存在を排除しなかった以上、おそらくそういう意識があるはずだ。

 そういう当たりをつけて、ルサントの男たちにそう返答する。

 

「……まあ、一理あるか」

 

 俺の言葉を聞いてルサントの男たちは落ち着いた。

 自分の中で矛を収めて良い理由が出来たのかね。

 

 誠実そうだから、理由をつけてやれば引き下がってくれると踏んだんだが。

 問題なく済んで良かった。

 

 ルサント族の男たちは

 

 恥ずかしげもなく布教したいなら勝手にしやがれ!

 どうせ誰も聞いていないけどな!

 

 そう言い捨てて。

 去って行った……

 

 そして

 

「……ありがとうございます」

 

 男たちが去った後。

 その女性……一色若葉と同じ顔を持っているクレマール族の女性が、俺に頭を下げて来た。

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