メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
歩きに歩いて、何とか辿り着いた。
しんどかったよ。
自転車もバイクも電車もバスも無い。
……俺、筋肉は使うようにしていたんだけどな。
思ったよりも、俺は文明に頼り切っていたらしい。
辿り着いた場所は見上げるくらい巨大な城壁に囲まれた場所。
門の位置には人が居た。
でも、武装している……
これは……
頭の片隅で考えていたんだが、異世界転生ってやつなんだろうか?
生前、巷で流行った物語。
結構好きだった。
今の世の中のしがらみを全部捨てて、全く違う誰かになりたい。
妄想みたいなもんだけど、そういう思いはあったよ。
でもまさか、現実に自分に降り掛かるなんてな。
俺はあの世界で死を迎えたと思ってた。
ここに来る直前の状況が、絶体絶命で。
助かる目なんて想像できなかったし。
だとしたら多分、あの場で俺は死んだんだ。
そして、この世界に転生した。
死んだときの姿で。
ついでに、認知世界でのみ振るえたチカラ……ペルソナ能力を現実でも振るえるチカラを得て。
しかしな。
どうしたもんか。
門番が居るということは、ここは街なのかもしれないけど。
規模からして、砦や要塞では無いだろ。
多分だけど。
デカ過ぎんだよ。
それ自体は嬉しいことだけど……
簡単には入れないだろうな。
他所者を、無警戒に迎え入れてくれるとは思えない。
何故って……
武装の感じが、中世なんだよ。
完全に中世ヨーロッパってわけじゃ無いけど……
兵士が持ってる武器が槍なんだよな。
……とすると
他所者がフラフラ救助を求めて近づいたら、拘束されて殺される恐れもある。
文明レベルが低かったら、十分あり得る話だ。
だとしたら……
俺は、認知の鎧……怪盗服を身に纏う。
チカラを解放して、怪盗の姿になったんだ。
その力で、この巨大な城壁で、見張りが少ない場所を駆け登った。
僅かな凹凸に飛びついて、垂直に聳え立っている城壁を瞬く間にてっぺんまで登り切る。
まるっきし、フィクションの中の忍者のように。
てっぺんまで登ると、何人か見張りの兵士を見掛けたが、その兵士たちの警戒の隙間を縫い
そこもクリアし、俺は壁の中に入り込んだ。
中に入ると同時に、俺は怪盗服を解除して元の姿に戻る。
……ここが中か……
そこは想像通り街だった。
イメージはやっぱり、ヨーロッパが近い気がする。
行ったことは無いけど、写真で似たような景色を見たことがあるから。
次は……
ここで生きていくには、どうすればいいのだろうか?
取り敢えずここに来ることを目標にしていたけど。
そこから先をまだ考えて無くて。
俺はこの世界について何も知らない。
そこには、言葉の問題も含まれる。
その手の読み物では、言葉は何故か通じるパターンが多かったけど。
現実はおそらくそう簡単には
そう思い、悩もうとしたとき。
「ちょっと待ってよ。エルダ族よ、ホラ」
「……怖いわ。国王陛下にエルダ族の血が混じってるからって、勘違いして大きな顔をするエルダ族増えたわよね……」
近場にオバサンが2人。
……そこからのヒソヒソ話が聞こえて来た。
えっ、と思う。
俺、ヒソヒソ話の内容を理解できている。
ということは……
俺はこの世界の言葉が分かるのか……?