メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第30話 うましの女

 これが美味いだって?

 

 そんなことを言うのは一体どんな奴なんだ!?

 

 弾かれたように目を向けると、そこにいたのは

 

 ルサント族の女性。

 外見の整った女性で、美人に分類されると思う。

 

 赤毛の長髪。

 ただ、清楚な美女というより……

 

 凛々しい麗人って感じだった。

 服装は男装に近いしな。

 

 胸元が少し開いているから、男装じゃないけど。

 女性らしい服装であるとは言えないと思う。

 

 黒基調の服で、どことなく軍服の風格がある気がする。

 

 これで背も高いから、これで胸が無ければ中性的な美青年と間違ったかもしれない。

 一目で鍛えている女性なのが分かった。

 椅子に座った姿勢がさ、すごく良いんだ。

 

 そんな赤毛のルサント女性は、美味しそうに芋虫を食べていた。

 

 見た感じ、姿蒸しのようだ。

 

 大皿に乗せられた蒸し芋虫を、ナイフで切り分け。

 小皿で黒いソースをつけた後、フォークで口に運んでいる。

 で、咀嚼して、飲み込んで

 

「うまし!」

 

 満面の笑みで。

 

 ……マジか。

 

 味は良いのか?

 

 俺は激しく迷ったが……

 

 ……行こう。

 

 覚悟を決めて、俺は芋虫の肉を口に運んだ。

 

 芋虫の断片を口に入れて咀嚼すると……

 

 味は悪くない。

 味はエビに似てる気がする。

 

 悪くないというか……

 むしろ美味い。

 

 ただ……

 美味い肉の外側に、固いビラビラしたものがくっついてて。

 それが芋虫の皮なんじゃないのかと思うと……

 

 味は悪くないのに、なんとも言えない不快感がある。

 ペッと吐きたくないなぁ。

 

 ビラビラが芋虫の皮だと認識してしまうと、ゲンナリしそうだから。

 それに気づいてないと自己催眠しながら、俺は食事を続けた。

 

 

 

 食事が終わった。

 

 味は悪くないから完食はできたけど。

 楽しくない食事だった。

 

 メンタル面も良くなかったしな。

 ……本当に、色々悪いけど。

 

 ここの名物料理なんだよな?

 一応。

 

 俺の態度で、店の人が気分悪くされたら良くないから

 

「ごちそうさまでした。美味しかったです」

 

 そう女主人に礼を言って、俺は店を出た。

 

 店を出ると……

 

(あ、あのときのルサントの女性)

 

 芋虫の姿蒸しを美味い美味いと言いつつ食べていた女性がいる。

 彼女は俺よりずっと早く、姿蒸しを全て平らげて俺より先に店を出ていたのだけど。

 

 まだこの店の近辺にいた。

 

 何でだ……?

 待ち合わせでもしてるんだろうか……?

 

 広場のオブジェの傍に立ってるし。

 

 なんとなく、本当になんとなく見ていたのだけど……

 

「お待たせ。ヒュルケンベルグ」

 

 えっ。

 さすがに驚いた。

 

 なんと、あの赤毛のルサント族の女性が待ち合わせをしていたのは……

 

 エルダ族の若者だったんだ。

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