メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第32話 取引の現場で

 次の日になって、約束の時間になった。

 俺たちはその1時間ほど前に、現地入りをしていた。

 

 鉱石の取引については、領主の城の一角を貸して貰えることになっていた。

 鉱石は魔導器の原材料なので、万一にでも誰か知らない奴らに奪われるとまずい。

 

 なので、荷物の受け取りだけど、場所の提供を領主自らが受けてくれてるんだ。

 この街の領主はルサント族の男性で、逞しくて真面目そうな人物だった。

 

 ルサント族の体格の良さも相まって、伝わって来る印象は太陽。

 ……性格も良さそうだ。

 

 性格が良く見えるように演技をしている俺とは違い、本当に性格が良いんだろう。

 なんだか眩しい男性だったよ。

 

「王都からお疲れですね」

 

 領主だというのに。

 それなりに大きな会社の使いとはいえ、俺たちのような庶民にまでそんな言葉をくれたんだ。

 

「本日はお世話になります」

 

 手続きの書類に名前を書き込みつつ、俺の父親が領主と会話をする。

 気取ったところの無い人物で、本当に嫌な雰囲気は受けなかった。

 

 

 そして貸して貰った受け取り場所……マルティラ城の小会議室……そこに入ってみると。

 

 

「やあ、こんにちは。本日はよろしくお願いします」

 

 ……そこには先に、取引相手のパリパス族の男性がいた。

 

 その男性は黒色の髪を持つパリパス族で。

 体格があまり良くなかった。

 

 パリパス族は巨漢が多いんだけど、珍しい。

 

 ただ、パリパス族としては貧弱な体格だけど。

 目の光が強かったな。

 

 俺の父親曰く、これまで何回も事業を立ち上げて、軌道に乗ったらその商売を他人に売却してまた別のことを始める。

 そんなことを繰り返している人物らしい。

 

 起業マニアってことか。

 起業は最初が一番難しいから、そこの苦労を耐えるのではなく愉しんでしまうタイプ。

 

 ……見た目はそうは見えないな。

 

 なんだか……前の世界の国民的アニメの、猫型ロボットの居候先の家の少年みたいな。

 そんなナヨナヨした雰囲気を感じる。

 

 目の光だけ、妙に強いことを除いたら、だけど。

 

 彼は部屋の応接セットの一方について、背後に護衛なのかスーツの男……パリパス族の男性……を控えさせ。

 微笑みながら俺たちを待っていた。

 

「すみません。お待たせしたようで」

 

「いえいえ。たまたま時間が空いていたので少し早く来ただけです」

 

 そこで俺の父親が少し慌てた様子で、そのパリパス族の鉱石業者……商人の前の席に座る。

 

 そして鉱石の受け取りに関する色々な書類を交わし合い、手続きをはじめた。

 

 ……万一の事態のために俺はこの場に立ち会ってるわけだけど。

 

 俺はその様子に、父親の仕事ぶりを見る息子の心境ってのは、果たしてこういうものなんだろうか……?

 そう思った。

 

 どういうわけか、少しだけ誇らしい気分があったんだ。

 

 ……こいつに父親らしいことをされたことなんて1回も無いはずなのに。

 

 そして

 

「それでは確かに受け取りました」

 

「お帰りについて、気を付けてください。昔より遥かに治安は良くなりましたけどね」

 

 手続きが終了したみたいで、双方席を立ち会釈をして

 

 これで帰るのか。

 そう思ったときだった。

 

 突然だ。

 この小会議室の外で、激しく人が走り回る音が聞こえて来た。

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