メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
次の日になって、約束の時間になった。
俺たちはその1時間ほど前に、現地入りをしていた。
鉱石の取引については、領主の城の一角を貸して貰えることになっていた。
鉱石は魔導器の原材料なので、万一にでも誰か知らない奴らに奪われるとまずい。
なので、荷物の受け取りだけど、場所の提供を領主自らが受けてくれてるんだ。
この街の領主はルサント族の男性で、逞しくて真面目そうな人物だった。
ルサント族の体格の良さも相まって、伝わって来る印象は太陽。
……性格も良さそうだ。
性格が良く見えるように演技をしている俺とは違い、本当に性格が良いんだろう。
なんだか眩しい男性だったよ。
「王都からお疲れですね」
領主だというのに。
それなりに大きな会社の使いとはいえ、俺たちのような庶民にまでそんな言葉をくれたんだ。
「本日はお世話になります」
手続きの書類に名前を書き込みつつ、俺の父親が領主と会話をする。
気取ったところの無い人物で、本当に嫌な雰囲気は受けなかった。
そして貸して貰った受け取り場所……マルティラ城の小会議室……そこに入ってみると。
「やあ、こんにちは。本日はよろしくお願いします」
……そこには先に、取引相手のパリパス族の男性がいた。
その男性は黒色の髪を持つパリパス族で。
体格があまり良くなかった。
パリパス族は巨漢が多いんだけど、珍しい。
ただ、パリパス族としては貧弱な体格だけど。
目の光が強かったな。
俺の父親曰く、これまで何回も事業を立ち上げて、軌道に乗ったらその商売を他人に売却してまた別のことを始める。
そんなことを繰り返している人物らしい。
起業マニアってことか。
起業は最初が一番難しいから、そこの苦労を耐えるのではなく愉しんでしまうタイプ。
……見た目はそうは見えないな。
なんだか……前の世界の国民的アニメの、猫型ロボットの居候先の家の少年みたいな。
そんなナヨナヨした雰囲気を感じる。
目の光だけ、妙に強いことを除いたら、だけど。
彼は部屋の応接セットの一方について、背後に護衛なのかスーツの男……パリパス族の男性……を控えさせ。
微笑みながら俺たちを待っていた。
「すみません。お待たせしたようで」
「いえいえ。たまたま時間が空いていたので少し早く来ただけです」
そこで俺の父親が少し慌てた様子で、そのパリパス族の鉱石業者……商人の前の席に座る。
そして鉱石の受け取りに関する色々な書類を交わし合い、手続きをはじめた。
……万一の事態のために俺はこの場に立ち会ってるわけだけど。
俺はその様子に、父親の仕事ぶりを見る息子の心境ってのは、果たしてこういうものなんだろうか……?
そう思った。
どういうわけか、少しだけ誇らしい気分があったんだ。
……こいつに父親らしいことをされたことなんて1回も無いはずなのに。
そして
「それでは確かに受け取りました」
「お帰りについて、気を付けてください。昔より遥かに治安は良くなりましたけどね」
手続きが終了したみたいで、双方席を立ち会釈をして
これで帰るのか。
そう思ったときだった。
突然だ。
この小会議室の外で、激しく人が走り回る音が聞こえて来た。