メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第33話 外に待たせているんです

 一体何だ?

 

 気になった。

 

 なので

 

「ちょっと失礼します」

 

 俺はその場にいるメンバーに一声かけて

 

 ドアを開き、外を見る。

 

 すると

 

 武装した兵士たちが忙しく走り回っていた。

 兵士たちは切羽詰まった様子で

 

「おい! ニンゲンの種類は10年前と同じか!?」

 

「どうも複数種出現したらしい!」

 

 そんなことを大声で話しながら走り回っている。

 

 ニンゲン……

 

 あの化け物が、この街でも出たって言うのか……?

 

 やはりまた、この街の住人の誰かが化身したんだろうか……?

 

 頭の中で色々考えるが

 俺はドアを閉じ

 

「……どうも街の中にニンゲンが出現したみたいです」

 

 今、見聞きした内容を部屋の中のメンバーに告げる。

 

 メンバー全員に緊張が走ったことが伝わって来た。

 

 そしてすぐさま

 

「だとしたらすみませんが早々に失礼します」

 

「えっ」

 

 鉱石業者の男性が、固い表情で椅子から腰を上げたんだ。

 この人、俺の話を聞いてたのか?

 

「あの、外には……」

 

 ニンゲンが暴れまわってるんですが?

 この状況で帰るのですか?

 

 そう言いたかったが

 

「街の外に従業員を乗せた鎧戦車を待たせているので、放っておくわけにはいきません」

 

 鉱石業者のパリパス男性は俺が口を開く前にキッパリとそう言い切った。

 そして

 

 従業員としては、雇用主たる自分が街の中に居るのに、勝手に安全圏に逃げる選択は取りにくい。

 というか、我々は平時の街で仕事の話をしているのに、突然ニンゲンが近場で暴れ出すような事態は想定していなかった。

 

 判断で迷って、不測の事態が起きるかもしれない。

 可能なら、速やかに外で待たせている鎧戦車に戻るべきだ――

 

 渋い顔で、そんな思いを語って来た。

 

 ……なるほど。

 起業マニアで、何回もそれを成功させてきただけあるというか……

 従業員を大事にしてんだな。この人。

 

 前の世界では従業員を消耗品か何かのように扱う経営者はざらに居たけど。

 この人は違うのか。

 

 こんなときに何だけど……

 

 俺はこの人のそんな対応が、なんだか気分が良かった。

 

 

 

 鉱石業者の男性は速やかに荷物をまとめて出て行った。

 俺と、俺の父親。

 

 その2人だけがこの部屋に残された。

 

 俺は

 

「……俺たちも帰るべきだよな?」

 

 一応訊いた。

 俺としては帰るべきなのではないかと思うのだけど、俺の父親は違う判断を下すかもしれない。

 

 俺は俺の判断の根拠を口にする。

 

「俺たちも街の外にリナさんを待たせているわけだし」

 

 彼女が街の中が何か騒がしいと気づいてしまったら、判断に迷う事態になるかもしれない。

 それはまずいだろ。

 

 ……だけど。

 

 こんなとき、前の世界なら電話があったんだがなぁ。

 この世界、そういうものが無いから。

 

 通信技術の大事さを、思い知らされる。

 

 俺の父親は俺の言葉を聞き、しばらく沈黙し

 

「……帰れそうなら帰ろう。おそらく彼女は街の様子を見に来たりはしないと思うが、絶対そうだとは限らん」

 

 かなり慎重な声音で、決断を下す。

 俺はその決断に

 

「だったら急ごう。ほっとくと状況が悪化するかもしれない」

 

 同意し、父親の撤退準備を促した。

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