メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
ミーハーじゃない。
そんな場合じゃ無いしな。
単にそれで事態がどうなるか見なきゃいけないと思ったんだ。
ひょっとしたら、その「この国の国王」と「王下六本槍」とかいう存在が、ニンゲンをバッタバッタと倒してしまうかもしれない。
そうなれば、もう安心だろ。
リナの安全が確保されるし、焦らずに鎧戦車に戻ることが出来る。
手古摺っているようなら、大急ぎで戻らなきゃいけないと思うけど。
……歓声が聞こえると言うことは、近くだということだろ。
だったら見に行った方が良い。
危険性は少ないし、ひょっとしたら安心が買えるかもしれないんだ。
「ちょっと見に行こう」
それだけ俺は父親に言って。
歓声が聞こえる方向に駆け出した。
そこにつくと、ワーワーと興奮した声……歓声が鳴りやまない状況になっていた。
そして異様に生臭かった。
何だこの臭い……?
思わず口呼吸をしてしまいながら、俺は歓声の元を探す。
すぐにそれは見つかって
そこに居たのは……
ちょっとした家くらいの大きさの、巨大な魚の怪物。
魚の部分はマグロに似ている気がする。
そしてそのマグロに、人間の女の足が2本。
マグロの身体の両サイドからニョッキリ生えていた。
まるでマグロに歩行能力を付与するために無理に取り付けたみたいに。
それが2体。
その足の生えたマグロ2体は、身体からヌルヌルした液体を滴らせながら、2体の巨大甲冑に向かって行ってる。
臭いの元はおそらくあのヌルヌルだな……
そして
おそらくこのマグロがニンゲンで……
そうするとあの甲冑が、この国の国王と王下六本槍か……?
それは妙な甲冑だった。
全体のフォルムにペルソナの雰囲気があった。
だけど、外観の質感が金属で。
だから「甲冑」と表現するのが合ってる気がするんだ。
それを見守る人々が、興奮して歓声をあげる。
「陛下!」
「キングのアーキタイプ!」
キング……?
アーキタイプ……?
民衆の歓声を拾って考えるに、あれはキングのアーキタイプというらしい。
言われてみれば片方は、外観に王者を思わせる意匠がある気がする。
頭部のデザインが、まるで冠を被ってるみたいに見えるし。
その王冠を被ったようなデザインの甲冑戦士は宙に浮いていて。
マグロ相手に高速移動をし、その手に握った長剣で何度も斬りつけていた。
その動きの速さ……まるで風のようだった。
マグロニンゲンたちはそのキングのアーキタイプに滅多切りにされ、追い込まれている。
マグロニンゲンたちはなんとか巻き返そうと、キングのアーキタイプの攻撃が途切れた一瞬を突き、ヌルヌルを身体から飛び散らせて敵に浴びせようとする。
だけど
「させるか!」
女性の声を発しながら、控えていたもう1体が割り込んで来て。
浴びせられそうになったヌルヌルから、キングのアーキタイプを身を挺して守る。
そのもう1体は、騎士のような姿だった。
馬に乗った重武装の騎士。
巨大な突撃槍と、大盾を備えている。
身体はキングのアーキタイプよりも重そうだったが、跨っている馬のお陰で重さが決定的不利にはなっていないようだ。
その武骨で頑丈な身体で仲間を守る役割。
……なるほど。
キングのアーキタイプが攻撃をして、あの騎士っぽいのが防御を担当する。
そういう戦い方か。
勝てそうだな。
ということは、早々にこの事態は収拾するかもしれない。
「……オイ、戻ろう。恐らく安心して良いと思うが、油を売る理由もない」
俺が目の前で展開された戦いの内容から、今後の流れを予想していると。
俺の父親が厳しい表情でそんなことを言って来た。
……確かに。
焦る必要は無いと分かったけど。
だからといって道草を食っていい理由にはならないよな。
「分かった。急ごう」
そう言って俺は、先行して走り出した父親の後を追うように走り出した。