メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
ズシン、ズシンと。
足を踏み鳴らしながらその化け物赤ちゃんは
その耳まで裂けた口を開きつつ、こちらに向かってくる。
さっきまでこの赤ちゃんニンゲンがしゃぶりついていた俺たちの鎧戦車には……
牙が突き刺さった後が見える。
穴だらけだ。
……コイツ、倒さないと駄目だろ。
逃げるわけにはいかない。
それが俺の結論だった。
俺が逃げると、鎧戦車の中にいるリナが危なくなる。
……それは駄目だ。
「来いよ化け物!」
俺は吠えて……漆黒の怪盗服姿に変身する。
ロキを呼び出すときの俺の姿。
飛び出しながら
俺は自分の仮面に手を当てて
「来い……」
俺は自分の内側に呼び掛ける。
俺のペルソナに
そして自分の仮面を剥がしながら
「ぶっ潰せ! ロキ!」
叫ぶ
その声と同時に俺の仮面が燃え上がり。
その炎の中から出現し、俺の傍に立つ俺のペルソナ。
ロキ。
俺はロキを伴って、向かってくるニンゲンに突っ込む。
迎え撃つために。
ガチン!
ニンゲンがその大顎で噛みついてくる。
牙と牙がかみ合う音を響かせながら。
こいつに噛みつかれたら終わりだ。
確実にその部位が無くなる。
その牙を持つ大顎は肉食恐竜そのもので。
顎から上の目鼻は愛らしいのに。
その不釣り合いさに、不気味さと
悍ましさがあった。
だぁぁぁぁ……
鳴き声は赤ちゃんの声そのもの。
それがさらに、こいつの悍ましさを増幅させる。
無邪気さを感じさせる声なのに。
声の主は明らかな人喰いの化け物。
「ロキ!」
俺の声に応じ、ロキはニンゲンに突き進み、その手にした剣で斬りつける。
ロキの刃は、ニンゲンの目の傍を切り裂いて――
ふぎゃあああああ!
同時に、悲鳴を上げて苦痛を訴え、怒りと共に噛みつきを繰り出すニンゲン。
俺はそれを躱すことに集中し
(楽な相手じゃないが……やれる!)
それを感じ取った。
コイツの攻撃はもらえば致命打だが、当たらなければ良いだけだ。
コイツ1体に集中できるなら、なんとかなる……
そう思った。
思ったのだけど……
そのときだ
おおおお……
森の奥から。
別の奴が現れた。
それは大きさ数メートルに達するカタツムリに似た化け物で。
カタツムリの身体に、人面がついていた。
ただし、目の部分だけがカタツムリ……
ゾッとする。
あまりにも不気味で恐ろしい、醜悪なニンゲン……
そいつは戦っている俺に当てつけるように、まっすぐに鎧戦車に向かって行く。
まずい……
コイツの対応は俺にはできないし、その間に鎧戦車を攻められたら、リナが危ない……!
どうすればいいんだ
そう俺が焦り、動揺し。
必死で頭を回そうとしたとき。
そのときだった。
俺の父親が
いきなりだ。
いきなり……
そのカタツムリニンゲンの前に立ち塞がった。
俺は
「おいやめろ!」
アンタに適う相手じゃない!
そう言おうとした。
俺の父親は並の同年代の男よりは体格がいいし、鍛えてる方だ。
こいつは政治家やりながらレスリングを健康のためにしてやがったからな。
でも、それでこいつらと渡り合うなんて無茶だ。
不可能だ。
そう思ったから、俺は叫んだ。
でなければ絶対にやられてしまうから。
けれども
俺のその声は、途中で停止する。
俺の父親の身体が青い炎に包まれ、変わったからだ。
まるで大国の軍隊の将軍を思わせる、ノースリーブで軍服風の赤い服に。
その顔には大きなサングラスのような黒い仮面があり、その目を隠している……
そんな。
これは……
怪盗服……!