メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第4話 避けられない戦い

 何故か言葉が分かる。

 これは大変ありがたいことだ。

 

 少なくとも、この世界の住人と会話をすることはできるってことだろ?

 

 何にもなくて、まず言葉の習得をどうするか問題が解決されてる。

 助かった。

 

 何故そうなのかは置いておこう。

 まずはそれよりも

 

「すみません。僕はエルダ族では無いです」

 

 俺はそう言って、そのおばさんたち2人に話し掛ける。

 俺が行動を起こした理由は2つ。

 

 1つは、このおばさんたちが陰口で言ってるネタを否定し、まずはその「エルダ族」というものを知ろうというものと。

 もう1つは、俺の聞こえている言葉が、本当に俺が聞こえている通りなのかを確かめること。

 

 あまりにも都合が良過ぎるからな。

 検証はしておきたい。

 

 もしかしたら俺の妄想の可能性あるかもしれないじゃないか。

 

 俺の言葉におばさんは

 

「えっ、エルダ族じゃないの? ひょっとして角が無い状態で生まれてしまったクレマール族?」

 

 ちょっとだけ動揺してるようだった。

 良く見るとこの2人のおばさんたち……

 

 頭に角が生えている。

 耳の上あたりから、左右に2本。

 角の感じは個性があるようで。

 

 片方のおばさんは水牛っぽくて。

 もう片方がヤギっぽかった。

 

 角が無い状態で生まれてしまったクレマール族……

 つまりだ。

 

 おばさんたちはクレマール族っていう種族で。

 クレマール族は俺たち人間に角を生やした容姿の種族なんだな?

 

 なるほど。

 

「ええ、生まれつき生えて無いんで良く間違われるんです」

 

 俺は困ったような笑顔を浮かべて。

 そうおばさんたちの表情を見つつ返す。

 

 おばさんたちは少し気の毒そうに俺を見て来る。

 

「大変ねぇ。ご先祖にエルダ族が居たのかしら?」

 

「可哀想……」

 

 ……よっぽどエルダ族ってのは差別されてるらしいな。

 本気で哀れまれてる。

 

「詳しい事はよくわかりません。両親も、何も教えてくれませんでしたので」

 

 そこで悲しそうな表情を浮かべる。

 

 するとだ

 

「……あなたひょっとして、王都に働きに出て来た人?」

 

 おばさんが心配そうな顔でそう訊ねて来た。

 俺は頷く。

 

「両親が相次いで他界しまして。家に居場所が無くなったんで、王都なら働き口があるかな、と」

 

 ……嘘を吐くのは大得意だ。

 スラスラと流れるように言葉が出た。

 

 オウトって、多分王都だろ。

 ここ、都なんだな。

 

 国王陛下って言葉がさっきあったから、この国は王政なのか。

 色々分かって来た。

 

 ……あと多分

 

 このおばさんたちに多少不審がられても、いきなり通報ということはないだろってことも。

 

 その根拠は

 

 確かさっきこのおばさんたちは「国王陛下にエルダ族の血が混じってる」って言ってた。

 ということは、平然と国王に対して不敬なことを言っても、即座に密告されて殺される社会じゃないってことじゃないか?

 

 だったら多少ミスをしても安心だ。

 

 

 

 ……色々得るモノの多い戦いだった。

 

 おばさんたちと会話して分かったことは。

 

 この国がユークロニア連合王国という名前の国で。

 

 数年前に新しい国王が即位したらしいこと。

 それまでは国が乱れていたけど、新国王即位後は表面上は9種族平等の理念の下に平和に国が収まってること。

 

 そんなことが分かった。

 

 ……9種族。

 

 そう。

 

 9つ種族が居るらしいんだ。この世界。

 詳しくは訊かなかったけど。

 知的種族が9つ居るそうな。

 

 そしてどうも、俺たち人間の容姿を持つ種族がエルダ族と呼ばれてて。

 エルダ族はかつて「穢れた種族」と差別される、最下層の被差別種族だったらしい。

 

 ……異世界転生したポイントが数年前だったら、とんでもなくハードモードだったな。

 俺はけっこうツイてるのかもしれない。

 

 そんなことを。

 

 さっき「これで美味しいものでも食べなさい」と言われて。

 おばさんたちに渡された、銀貨数枚を自分の制服のポケットに仕舞いながら考えた。

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