メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
人間の精神世界には、怪物がいる。
シャドウというんだが。
それは人の精神の象徴のようなもので。
多くは神や悪魔の姿を借りた形を取るんだ。
人の側面の象徴だからだろうな。
アークエンジェルはそのうちのひとつ。
元々は天使の階級の1つのことらしいけど。
おそらくその人間の善の部分の象徴だったり、もしくは自分の正義を疑わない独善的な心の象徴だったり。
そういうものだと俺は思う。
それに似た存在が、惺教の教会が焼き討ちにされた事件の現場にいた。
シャドウが異世界とはいえ、現実世界に……?
……なんだか、それは普通の事件では無いんじゃないのか?
気になった。
とはいえ……
俺には今は仕事がある。
気になったからと、捜査に出向くようなことはできない。
前の世界なら兎も角、こっちの俺は高校生探偵じゃないんだから。
「ちょっと、お使いに行ってくれないか?」
そして後日。
ライケン魔道商会の俺と俺の父親に割り当てられた部屋で。
俺の父親と共に、日々の雑務をこなしているとき。
いきなりやって来たベルギッタにそんな話をされた。
俺の仕事は、俺の父親の護衛なわけだけど。
だからといって「何で僕が?」なんて言えないよ。
今はその仕事をしている時間では無いし。
雑用はやってるけど、これは今やらないといけないことではない。
そして俺は俺の父親の従属的立ち位置だ。
ここでの仕事の上ではね。
なので
「どこに行けばいいんですか会長?」
当然だけど、俺はそれを引き受ける。
持っていた書類の束を、俺の机の上に置き、俺は自分の席を立つ。
ベルギッタは
「もうすぐ客が来る。……注文している料理を受け取りに行って欲しい」
そう語るベルギッタの目は、こう言ってはなんだけど……何だか少女のように見えた。
ひょっとしたら相手は男かもしれないな。
……誰だろう?
まあ、雇い主のプライベートを詮索する趣味は無いから
「分かりました。その場所は?」
そう、料理を注文している店の名前を訊ねる。
ベルギッタは
「蜜蜂のささやき亭だ」
……ああ。
あの店か。
パリパス族の女主人と、イシュキア族の混血の女の子が切り盛りしている店。
確か、日陰通りの店だよな?
貧民街の。
わざわざそんなところに料理を注文?
いや、あそこの料理は確かに美味しかったけども。
わざわざ来客に出す料理をあそこに注文する理由が分からない……
でもま
「了解しました」
俺は雇われている身だし。
雇い主の言うことには従う必要がある。
場所は知っているので俺はそう一言残して、部屋を出た。