メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
日陰通りに久々に来た気がする。
路上で寝てる人間がそこら中にいる貧民街だ。
前の世界でも、さすがにこのレベルの貧民街はお目に掛かったことがない。
でもまあ、昔よりはずいぶんマシになったとは聞いた。
昔は、普通に路上生活者の死体が転がっていることが珍しくない状況だったらしいし。
……俺は前はここで路上強盗に遭いかけたけど。
油断せず歩き、いざとなったら「ライケン魔道商会の者ですが」で切り抜ける。
そうしようかな。
幸い。
俺は今回、絡まれて恐喝に遭うこともなく目的地に到達する。
日陰通りの店「蜜蜂のささやき亭」
時間は昼過ぎ。
食事どきから微妙にズレている。
忙しい時間では無いのでは無いかな。
「こんにちは」
俺はドアを開けて店に入った。
中では数人の客がいて、イシュキア族の混血の少女と、パリパスの女主人が店を切り盛りしていた。
「いらっしゃいませ」
前に出会ったときと同様、メイド服風の衣服に身を包んで。
頭の良さそうな中学生くらいの混血少女。
名前は確かマリアだったか。
そして
「お好きな席を」
笑顔で俺にそう言うが
「あの」
今日は食事をしに来たんじゃない。
料理を受け取りに来たんだ。
「ライケン魔道商会の注文を受け取りに来ました」
なのでその旨を先に告げる。
その言葉で
「あっ」
向こうも俺に気づいたらしい。
「ええと……ゴローさんじゃないですか」
ベルギッタさんに雇って貰えたんですか?
良かったですね。
微笑みながらそう言ってくる。
……どうやら俺の名前をまだ覚えてくれていたらしい。
これは嬉しい。
「ベルギッタさんのところではどうですか?」
注文していた料理の包みを両手で俺に手渡しながら
彼女は俺にそう言ってくる。
彼女の勧めがあったから、俺はベルギッタに雇われることが出来た。
「特に差別も無く、正当に評価して雇って貰えています」
なのでその礼を口にする。
その言葉に彼女は微笑んで
「お兄ちゃんも昔、ベルギッタさんのところで仕事をしてたって言ってましたから」
「マリア」
そのまま思い出話をしようとした彼女に
この店の女主人が口を挟んだ。
彼女は視線を後ろに向ける。
その女主人は
「……念のためにお客さんに付き添ってあげて。エルダ族はいまだに襲われる場合あるからね」
今は別に店の手伝いは良いから。
その料理は万一にでも駄目にしてはいけないから。
マリアが付き添えば、誰もお客さんを襲おうとはしないはずだし。
そんなことを。
……ありがたい。
俺は頭を下げる。
そこは内心少しだけ心配していたから、そう言うしか無いよな。