メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第54話 失言(パンケーキ)再び

 ガリカと名乗った妖精は、俺の周囲を飛び回りながら俺を観察するように視線を向けて来る。

 

「外見はただのエルダ族。耳も尖って無いし、羽根や角があるわけでもない……でも、何か魔力(マグラ)の質が違うわね。ちょっと表現しづらいけど、異質」

 

 ガリカは唇に指を当てて、思案顔で呟くようにそんなことを。

 

 俺は

 

「アーキタイプとは何ですか?」

 

 まずそこを確認する。

 相手の言うことをまず理解しないと、会話は成立しないだろ。

 

 俺の言葉にガリカは

 

「えーとね」

 

 彼女は飛びながら腕を組み、クルクル回転している。

 考えをまとめているのか。

 

 そんな仕草を少し続けた後

 

「アーキタイプとは、英雄の魂のことかな。その魂の具現化」

 

 考えながら、言葉にしてくれた。

 

 色々と一生懸命説明をしてくれる。

 

 そこからまとめると……

 

 この世界の人々の、心の中にある理想。

 その理想の英雄像を、戦うための鎧のように自分の身体に具現化したもの。

 

 そういうもののようだ。

 

 ……だいぶペルソナに近いな。

 

 違うのは、自分自身に具現化してるところくらいか。

 

 ペルソナは背後霊のように傍に立つ存在だけど、アーキタイプは変身能力か。

 

 ひょっとしたら在り方が違うだけで、本質的には同じものなのかもしれない……

 

 そんなことを考えた。

 

「で、ペルソナってなぁに?」

 

 ガリカが説明を一応終えたと思ったのか。

 腰に手を当てて

 

 俺の目の前でホバリングしながら

 

 その小さな顔を近づけて、訊いてくる。

 俺は

 

「ペルソナとはその人間の本質を、英雄や神や悪魔のイメージとして具現化させたものです」

 

 自分が把握しているペルソナ能力について説明をする。

 彼らはアーキタイプを教えてくれたわけだし。

 

 同レベルの情報は渡すべきだろ。

 それにまぁ

 

 ここのメンバー、国王の家臣たちだしな。

 嘘はまずいだろ。

 

 

 

「で、ロビンフッドって何?」

 

 ……だけどさ。

 俺は失敗した。

 

 ペルソナ能力の説明を理解して貰った後に、ペルソナ能力の名前を訊かれたんだ。

 

 アーキタイプには名前があって

 

 ユーファジアさんのアーキタイプはロイヤルサマナー。

 そして国王のアーキタイプはキング。

 

 そういう個別の名前があるという話をされたとき。

 ペルソナ能力にそういうものはあるのかと訊かれて

 

 うっかり

 

「ロビンフッドですね」

 

 イメージの悪いロキの名前を出さずに、そっちを口にしたとき。

 俺は自分の失敗に気づいた。

 

 ……前の世界でも、怪盗団の奴らに正体バレすることになった理由が、こういううっかりだったんだよな。

 自分の馬鹿さ加減が嫌になる。

 

「ねー、ストロール? あんたロビンフッドっていう神や悪魔、英雄に心当たりあるー?」

 

 ガリカは振り返り、クレマール族の凛々しい男性にそう訊ねる。

 この中では知性面では上澄みの顔つきだし、知識が豊富なのかもしれない。

 

 ストロールと呼ばれた青年は首を左右に振り

 

「悪い。聞いたことも無い。スマン」

 

 当然だろ。

 異世界の英雄の話なんて知ってるはず無いんだから。

 

 どうする……?

 不審に思われ、まずいことになるかもしれない。

 焦りに襲われる。

 

 だけど

 

「俺は知ってるぜ」

 

 そこでだ。

 

 イシュキア族の高齢男性が口ひげを弄りながら話に加わって来たんだ。

 

「仲間の命を救うために自分の息子の頭の上に置かれた林檎を矢で射貫く盗賊の話があって、その盗賊の名前がロビンフッドだった。確か」

 

 ……それ、ウィリアム・テルじゃないのか?

 何か混ざってんな。

 

 でも、助かった。

 偶然そんな英雄の名前があったんだな。この世界にも。

 

 俺は安心する。

 

「ただ」

 

 そのイシュキア族の高齢男性は自身の名をニューラスと名乗り

 

「そのおとぎ話、古過ぎて出自が分からん話なんだよなぁ……俺はさ、旧世界から伝わった話なんじゃ無いのかと踏んでるんだが」

 

 旧世界……?

 突然、そのイシュキア族の高齢の男はそんなことを言って来たんだ。

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