メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第60話 地雷の本棚

 王族専用の鎧戦車は、こう言っては何だけど……

 

 段違いで性能が良かった。

 

 なんと、飛べるんだ。

 翼が備わっていて、それで飛ぶことが出来る。

 

 前にリナに乗せて貰った鎧戦車は走るだけだったのに。

 すごいとしか言いようがない。

 

 聞けば、飛行能力だけでなく

 

 普通の鎧戦車のように走れるし。

 船になって水の上を進むこともできるらしい。

 

 乗せて貰って早々、飛行状態に移行し。

 空の旅になった。

 

 竜宮神殿には1日で着くとのこと。

 というか……

 

 ユークロニア連合王国内の場所なら、どこでも1日以内に到着可能なんだってさ。

 大したもんだな。

 

 

 

 俺はほとんど揺れない飛行状態の鎧戦車の技術力に感心しつつ、その中を見て回った。

 

 キッチンがあり、会議をする場所があり、寝床、トイレ、そしてシャワー室まである。

 娯楽室には本棚やチェスみたいなゲームまであった。

 

(どんな本が置かれてんだ?)

 

 なんとなく気になったので、俺は置かれている本の内容をパラパラと確認した。

 

 置いてあったのは……

 

 旅行記に、会話術の本。

 詩集、ガイドブック……

 

 ……おや?

 

 その中で1冊、個人の育児日記が置かれていることに気が付く。

 

 ハイザメ氏のだ。

 

 タイトルは『在りし日のこと』

 

 ……あのヒト、子供が居たのか。

 まあ、50代だそうだし。

 

 こういう世界なら居ない方が変かもな。

 

 男も女も結婚するのが当たり前の世界だろうし。

 

 なんとなく、傍にあった椅子に腰掛けてその育児日記を読んだ。

 本棚に置いているんだから、読んでいいだろ。

 

 

 ……子供が立ったとか、悪戯だけは日々進化するとか。

 機嫌がいいのか、子供が意味不明のことを喚きながら踊っていたとか。

 読めば読むほど、ハイザメ氏が子供を大切に思っていたことが伝わって来る。

 

 母さんもこんな感じで、俺を育ててくれたんだろうか?

 読みながら思った。

 

「おお、拙者の本を読んでいるのか」

 

 するとだ。

 娯楽室にハイザメ氏が入って来た。

 

 で、椅子で読書している俺にそんなことを。

 

 俺は

 

「お子さんいらしたんですね」

 

 これが書かれたのがいつか知らないけど、今はどのくらいになってるのか。

 ハイザメ氏の年齢を考えると、成人している可能性も高いな。

 

 なんとなく気になったのでそう訊ねたんだが

 

「ああ……」

 

 なんだか、その言葉に引っ掛かるものを感じた。

 ハイザメ氏の目がなんだか泳いでるように感じるんだ。

 

 何かあったんだろうか……?

 成長してグレたとか……?

 

 ひょっとしたらマズいことを聞いてしまったのかもしれない。

 なので俺は

 

「これから行く竜宮神殿ってどういう場所なんでしょうか?」

 

 話題を切り替える。

 訊いてなかったからな。

 

 地下に遺跡として新宿がある場所、以外は。

 

 そんな俺の話題転換に

 

「元々、ムツタリ族が生贄の儀式を行うための場所だった場所だ」

 

 ハイザメ氏は少しだけホッとしたような顔色をしていた。

 ……そういう態度をとってしまうなら、こういう本を置かないで欲しい。

 

 俺はそう思った。

 

 まるで地雷じゃ無いか。

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