メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
女の格好は忍者に近いものがあった。
忍者といっても、現代の忍者。
創作物で「現代に生き残った忍者」という設定のキャラクター。
そのイメージの格好だった。
動きやすいすっきりした黒い服。
フード付きパーカーに、アスリートが着るトレーニングパンツに似た衣装。
そして運動靴。
「くっ」
女は焦り声を洩らし、走り出す。
ただ、その速さは大したことは無かった。
常人の域を出ていない。
「おい親父! ここは任せた!」
国王臣下の3人は手が空いていない。
行けるとしたら俺だけだろ!
父親にパワーの対処を丸投げして、俺は駆け出す。
あの女は何か知ってる!
捕まえて喋らせないと!
「逃がすか!」
怪盗の姿になっている影響で拡大されている俺の身体能力。
俺は常態より遥かに上昇した脚力で、追い縋った。
みるみる距離が縮まり、俺の手が女のフードに伸びる。
そしてその手が女を捉えたとき。
俺にフードを掴まれた瞬間に、女が振り返り
「ブフーラ!」
その手から、氷結魔法ブフーラを放って来た。
ペルソナ使いじゃないのに、魔法……!
さっきドルミナーを使って来たのは、やっぱりコイツなのか!?
俺は放たれた氷の矢を身を捻って躱しつつ
フードが外れて頭が露わになった女に
「ロビンフッド!」
ペルソナを召喚。
無傷で捕まえるのは難しいかもしれない。
まず無力化しないと!
その脚を狙って、矢を放つ。
だが女は
「スクカジャ!」
強化魔法スクカジャで、自分の敏捷性を上げて走り出した。
矢が外れる。
だが、少し無理があったのか。
矢を避けた拍子に、女の仮面が外れたんだ。
外れた仮面がアスファルトの上に落下し、それを追って女が振り返った。
その下にあった顔は……
「あ……アンタ……!」
俺は動けなくなった。
予想も出来ない顔だったから。
女の仮面の下にあった顔、それは……
さっきフードを掴んだとき。
女の髪型がボブカットで。
色は黒なのが露わになった。
そのときに少し引っ掛かってはいたけど。
あくまで少しだけだ。
でもその仮面の下の顔が見えたとき。
驚くしか無かった。
その女は知的な容貌で。
綺麗だった。
……見覚えはある。
一色若葉だ。
俺が前の世界で、その命を奪ってしまった女性……!
俺は硬直した。
どうしても動けなかった。
その一色若葉の顔を持った女は俺に鋭い視線を向けて。
素早く眼鏡を掛け
無言で地面に何かを叩きつけた。
……煙玉だ。
黒い煙が女の姿を隠す。
そしてその煙が消えたとき。
一色若葉に見える女は逃げ去って、居なくなっていた。