メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
「おい、ゴロー」
気が付いたとき。
戦いはもう終わっていた。
俺の父親が俺に近づき、声を掛けて来て。
それに気づいたんだ。
「どうした?」
その声には戸惑いがあった。
俺の父親の目には、何故か急に女の追跡を止めたように見えたんだろうな。
俺は
「……一色若葉だった」
そう、小さく言った。
「えっ」
俺の父親の動揺。
俺の父親も、覚えていたのか。
自分が死に追いやった女性の名前を。
「馬鹿な……彼女は……」
俺たちが殺した。
その言葉は流石に飲み込んだのか
「……ここでは、前の世界で死んだ人間が軒並み転生しているのか?」
そう、続ける。
……あり得ないとは言えない。
何故なら俺たちがそうだから。
無論「軒並み」ってのは言い過ぎだとは思うけど。
もしそうだったら、この世界が転生者で溢れているよ。
前の世界で死んだのは、俺たち周りの人間だけじゃ無いんだし。
「……引き返そうか」
トールを倒したヒュルケンベルグたちは、アーキタイプの変身を解き
そう口にした。
ストロールとハイザメも、渋面だ。
そりゃま、そうだろうな。
彼女らにしてみれば、わけわからん空間にやってきて、正体不明の存在に襲われたんだ。
引き返そうってなるだろうさ。
だけど
「いえ、進みましょう」
俺は逆にそう提案した。
……こんな襲撃があるってことは、ここに探られるとまずいものがあるんだろう。
だとしたら、ここで引き返すのは取り返しのつかない選択になる可能性が大いにある。
無論、この援軍の来ない場所で俺たちを殲滅したいだけかもしれないけど。
「進むのか? コッカイトショカンという場所には、そこまでの重大な情報があるというのか?」
俺の提案にヒュルケンベルグがそう、鋭い視線を俺に向けながら訊ねて来る。
危険を押してまで行くべき理由があるのか? と。
彼女にしてみれば、ここにはユークロニア連合王国にとってのプラスアルファを取るために来てるだけで、ここにいる全員の安全を賭けて、必ず勝てる確証が無いギャンブルをする理由が無いのか。
そりゃそうだ。
だけど
「そりゃあると思いますが……そっちでは無いです」
俺は彼女の言葉をやんわりと否定して。
続けた。
「俺にはこの襲撃が、ここを探らせないようにするためのモノだったと思えるんです……なので」
ここで俺は一呼吸大きく息を吸い
「……今を逃すと、その探らせないものを持ち去られるか、排除される危険性があるのではないかと」
それはマズい。
致命的にマズい。
後で悔いる結果になったら、困るなんてものじゃないだろ。
そのことを、俺は国王臣下の3人に伝えた。
「……なるほど」
ハイザメが俺のその言葉に頷く。
「拙者は突き進んだ方が良いと思う。皆はどうだ?」
ハイザメがそう言うと
「……俺も同意だ。ここで逃げ帰れば後で困る結果になるかもしれない」
腕組みしつつ話を聞いていたストロールも同意。
「うむ」
ヒュルケンベルグも同意した。
そしてガリカがその横で
くるり、と宙返りをして
「……じゃあ、注意して進みましょう。あたしも全力で警戒するわ」
皆の意見に同意した。
よし
「じゃあ、行きましょう……こっちです」
そう言って俺は歩き出した。
堀に囲まれた、巨大な城……
皇居に向かって。