メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第73話 そんなもん、妾は知らん

「本当に良いんですか? 三種の神器ですよね? しかも恐らく本体ですよね?」

 

 父親が焦っている。

 ……コイツが焦るなんて。

 

 そこまでのものなのか。

 

 女神はその言葉に頷いて

 

「……どのみちもう、意味が無いものじゃ。この箱を持っていけ。鏡が入っておる」

 

 言って視線で、この社の祭壇に祀られている箱を示す。

 

 鏡……というと、八咫鏡か。

 

 女神は続けた。

 

「鏡を通して、妾といつでも話すことが可能じゃ。妾はここから動きたくない」

 

 女神は鋭い目のままでそう言い放ち

 

「よって、いたしかたなし」

 

 ……ええと

 

「つまり、面倒くさいから行きたくないと?」

 

「うむ」

 

 うむじゃねーよ。

 

 アンタ神様だろ!

 

 そう思ったが

 

 ……そういや、この神様。

 弟のスサノオのDQN行為でブチ切れて、職務放棄をした過去があったっけ。

 

 神話の中の話だけど。

 

 そのせいで世界に陽が差さなくなり、世界が闇に包まれるんだが……

 この行為、やってることは相当無責任だよな。

 世界の運行を任されている管理者としては。

 

 だとすると……

 

 この世界ではもうすでに、アマテラスが守護する国が無くなっているから、外の世界がどうなろうと正直どうでもいいのかもしれないな。

 国が在った時代ですらそうなんだし。

 

 ……前にどこかで

 

 日本の神様は別に絶対善の存在ではない。

 ただの偉大な存在だ。

 

 そんな話を聞いたことがあった気がする。

 

 そこから考えても、別に変な振る舞いでもないかな……?

 

「何か聞きたいことがあるのであれば、箱に話し掛ければ良い。妾に分かることであれば教えて遣わす」

 

 アマテラスはそう言い放ち、目で「持っていけ」と俺たちに告げた。

 

「分かりました」

 

 それに応えたのは俺の父親で。

 震える手で、その箱を祭壇から手にする。

 

 後で訊いたんだけど……

 三種の神器は日本の国家元首の根拠になるもので。

 

 その本体は、日本が建国されてからずっと存在し続けて来たものらしい。

 

 だからこのとき、俺の父親はそこまで緊張したのか。

 ……ちゃんと重大さを理解してたから。

 

 そしてその社を去るとき。

 

 俺は女神に。

 アマテラスに。

 

「あの」

 

 最後に訊いた。

 

 なんじゃ? と返して来る女神に俺は

 

「……俺は前の世界で大きな罪を犯しました。そんな俺たちに鏡の神器を預けるのですか?」

 

 そのことを。

 俺は神に使命を与えられるような存在では無いのでは?

 

 そう思ったんだ。

 だけど

 

「そんなもん、妾は知らん。……今のオヌシたちに、穢れを感じぬから妾は別にどうでもよい」

 

 オヌシらが前の世界とやらで何をしておろうと。

 それは知ったことではないわ。

 

 そんなことは、オヌシの中で答えを出すがいい。

 妾に訊くな。

 

 ……あまりにも突き放した言い方。

 

 だけど

 

「……分かりました。精一杯やってみます」

 

 俺は何だか、その言葉に勇気を貰えた気がしたんだ。

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