メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
「おかえり。ご苦労さん」
首尾は?
鎧戦車に戻ってくると、俺たちはニューラスにそう労われて。
俺たちは言われるまま、あの後国立図書館から持ち出して来た百科事典を差し出す。
ドサッと、大量に。
当たり前だけど1冊で終わらず何冊もあるしな。百科事典は。
持ち出して来たヤツは、30冊近くあった。
重労働だよ。
……百科事典はシリーズとしてもかなり大量にあった。
当たり前だが。
俺たちはその中で最新のシリーズを探して来た。
……ただ、どうも途中から電子化が進んだらしく。
紙の本では絶版、という形になっていたけど。
それでも無いよりはいいだろ。
「これは? みたところ、辞典のようだが?」
「百科事典という本です」
差し出した百科事典を開いて、パラパラ内容を確認するニューラスに。
俺は百科事典というものがどういうものかについて説明した。
ざっくりと「万能の辞典だ」って。
……これは当然日本語の本だ。
日本語で出版された百科事典。
今の世界の言葉じゃないから、読むのに無論翻訳は要るけどさ。
今必要なのは、おそらくこの本だろ?
旧世界の知識と言っても、あまりにも多いしな。
そうそう簡単に持ち出せない。
やるなら大規模になるだろ。
そのための百科事典だ。
欲しい技術をこれで調べて、あとからもう一度あの空間に出向くんだ。
……おそらく、あそこから外に出て行ったという外国の神々は、国会図書館には用が無いはずだし。
もし目障りだと思っているなら、とうの昔に焼いているはず。
俺たちが来るまでにその時間はたっぷりあったはずだ。
なので多分……
連中が阻止したかったのは、アマテラスに接触されることだったんじゃないだろうか?
なので俺たちは、国立図書館から持ち出す書籍はこの本にした。
ニューラスは俺の話を聞きながら百科事典を次々開いて内容を確認しつつ
「なるほど……まず俺に旧世界の言葉を覚えろと言うんだな? お前さんは」
俺にそう言い、試すような視線を向けて来る。
俺は
「伝言ゲームは効率悪いでしょう? 一番技術を有効活用できる方が直接調べられる構図が良いのではないかと」
そう、冷静に堂々と返すと
ニューラスはフフッと笑った。
「……違いないな。誰にも文句は言えねぇな」
彼は俺の発言に怒りを覚えたりせず、本当に楽しそうだった。
……本当の、偉業を成し遂げる科学者ってこういう人なのかもしれないな。
技術を手に入れることや、新しい知識を手に入れることに対する労力を惜しまないというか……
「……しかし。よく、紙の本が残っていたもんだな。旧世界の紙はおそろしく強いんだな」
引き渡した百科事典を運ぶために小分けにしながらニューラス。
……確かに。
確か、人類滅亡後に情報記録媒体として残るメディアは、石板以外数千年経つと全滅するって話をどこかで聞いた気がする。
そこから考えると、あの空間はモノが劣化しないようになる特殊性があるのかもしれない。
……そうすると。
もしかしたら、その辺が原因で不妊症が発生したのかもしれないな。
なんとなく無関係じゃない気がするし。
「まぁ、ワリィが俺に旧世界の言語を教える役目をお前さんにお願いすることになるが、頼むぜ」
そして俺はニューラスにそのことを頼まれる。
俺としては
「任せて下さい。本気でやりますので、怒らないで下さいよ?」
そう答えるしかない。
平民が国の要請を断るのが難しいのもあるけど。
俺の考えていることをやるには、ユークロニア連合王国の中枢と関係がある状況は手放せないから。
……俺は感じていたんだ。
多分俺は「旧世界の神々が、今現在のこの世界を掌握しようとする企み」を阻止するために、この世界に呼ばれたんだ、と。