メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
第75話 日本語教育
「なぁ、ゴロー。この漢字は何という意味だ?」
「それは航空だから……空を飛ぶという意味合いですかね」
百科事典のページの1つを指差して。
ニューラスが訊ねる内容に答えを返す。
「なるほど。航空だものな」
俺の言葉にそう返しつつ、メモを取るニューラス。
……俺は学校の成績は良い方だったからね。
他人にモノを教えられないことは無かった。
教えられる方のニューラスも、生徒としては超優秀だったし。
割と楽にいけたと思う。
俺はまず、五十音のひらがなとカタカナを彼に教え。
そこに漢字の概念を加えていった。
元々、このユークロニア連合王国内の公用語は、日本語に似た性質がある言葉だったから
教えやすかったかもしれない。
ニューラスは漢字の概念を知ったとき
「文字自体に意味があるのは分かりやすいが、数が多過ぎるな。……旧世界の住人は、皆それをやっていたのか? 教育レベルどうなってんだ?」
そんなことを呟きながら、しきりに感心していた。
そこは少しだけ誇らしかった。
俺が何かやったわけじゃないけどな。
で、こうしてニューラスに分からない漢字というか、漢字の単語について教えるということをやっているのだけど。
これが拘束時間が長いんだ。
午前中に王城に招いてもらって、そのまま夕方までニューラスの王城の私室に籠り。
そこで彼の傍にいることを余儀なくされる。
……あのとき国語の辞書も一緒に持ってくればよかった。
俺は心底、そこを後悔した。
国語辞典があれば、分からない単語は自分で調べて貰えるよな。
今度あそこに行くことがあれば、欲しい資料だけでなく、国語辞典も確保してもらいたいよ。
でなきゃずっとこの生活が続くしな。
……ライケン魔道商会の仕事は、最近やってない。
王城での仕事が優先されているんだな。
だから代わりに、全部俺の父親がやっている。
別にアイツに悪いとは思わないが……
元々の自分の仕事を他人に押し付けているという構図が、何か嫌だ。
「ゴローさん、何か顔色悪いですね。仕事忙しいんですか?」
そして休息日。
1週間5日のうち、最後の日。
一般では皆が休む日だ。
俺の父親は、前の世界の1週間が7日なのは宗教的な意味合いがあると言っていたけど。
この世界の1週間が5日なのは、管理がしやすいから自然とそうなったのが真相らしい。
……理由はまあ、なんとなくわかる。
7日だと、10進法と相性が悪いしな。
多分、なんとなく気持ちが悪いんじゃ無いだろうか?
7日で進む1週間と、10で繰り上がる日付の日数……。
些細な相違かもしれないが、合致していた方がスッキリするもんな。
で、この世界の基本ルールを決めるとき、誰かがそう決めたんだろう。
俺はその休息日に食事に来ていた。
場所は、蜜蜂のささやき亭。
美味い料理でも食べないと持たないよさすがに。
それにここはホントに、居心地いいしね。
種族差別も別に感じないし。
値段も高く無いし。
……それにまあ、あとは。
この子……マリアがいるからね。
注文を取りに来たときに
俺の様子を見て、そう心配そうな目を向けて来る彼女に
俺は
「ちょっと厄介な仕事を任されて、終わる目途が立たないんだよ」
店のテーブル席に座ったまま。
そう、苦笑して一言。
……この子は気遣いできる子で、かなり賢いから。
話してて心が休まるんだよな。