メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
「ゴローさんは頭良いと思うから、ゴローさんが同じ結論になるなら、その解釈が正しいと思ったんですけど」
マリアは思案顔でそう呟く。
……えらく買いかぶられているな。
俺は学校の成績は良かった。
だけど、それだけだ。
うっかりすると口を滑らせるし。
調子にも乗りやすい。
俺程度で頭がいいなんて言われても困る。
本物の天才はもっととんでもないよ。
……彼女らならどう判断を下したのか。
しかし
「マリアさんの言ったことは、面白いけどこじつけだ」
……これは間違いないだろ。
そうとしか考えられない、って解釈じゃ無い。
どれも。
三国は別にユークロニア連合王国の隠語にしか使われない言葉じゃ無いし。
竜の娘がムツタリ族の土着宗教の巫女だけを指す言葉だと思えない。
凪の水面も同様だ。
頑張ればそう読める、って話なんだよ。
「こじつけ、ですか……」
マリアは俺の言葉を繰り返し。
思案顔を続ける。
……気になるな。
王妃を貶めるような暗号解読。
誰がやったんだ……?
「安心しました」
そして少しホッとした表情を浮かべるマリア。
俺は彼女に
「それは良かったですね。……しかし、誰がこんな話を流しているんですか?」
マリアの話からすると、あのムツタリの男の友人、ってことだけど。
マリアはその友人という人物の知り合いなのか?
気になったんだ。
誰がそんな話を流しているのか。
俺が見たところ、この国の王妃たちは別に嫌われてない。
それぞれが国母として一定の敬意を持たれている。
評判の悪い人物なら、嫌がらせ目的でそういう話を流すのも分からなくもないけどさ。
そうじゃないんだ。
王妃に敬意を持ってる人間が聞いたら、怒り出す可能性すらあると思う。
俺の言葉にマリアは少し考え
「エルダ族の風聞屋の女性です」
……そう、答えてくれた。
「……エルダ族? エルダ族ですか?」
「はい。角も耳も羽根も無かったですから」
エルダ族の風聞屋……
風聞屋とは、前の世界で言うところのジャーナリストみたいなもんだ。
噂話だとか、独自で取材したことを文章にして、ビラを作って売り捌いて金を稼ぐ商売。
その信用性は人によるけど、かなり高いと思われてる。
でもエルダ族って……
言っちゃなんだけど、エルダ族は最下層も最下層だ。
そんな人間の書いた記事なんて、まともに読まれるのか……?
困惑しながら訊ねる。
「その人から記事を買ったんですか?」
俺のその問いに、マリアは首を左右に振り
「いえ、道で配っていたんです。何でも自分は駆け出して、今は売り込むときだから、って」
そう答えた。
……タダで配ってたのか。
なので俺は
「その記事、今持ってますか?」
「はい、一応……」
俺の言葉に頷き、マリアは4つに折られた紙を差し出して来る。
俺は受け取り、それを開いて
確認した。
そこにはこう書かれていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(見出し)ユークロニアを裏切った王妃の真実。
(見出し)第一王妃ユーファジアを信じてはいけない。
我らがユークロニア連合王国を欺き、その地位を血で固めた女がいる。
それは他ならぬ、第一王妃ユーファジアである。
惺教教会が焼かれた放火事件。
惺教に憎悪を燃やしたムツタリ族の男による犯行とされたが、あれは王妃が仕組んだ自作自演の血の儀式だったのだ。
なんと、ムツタリの男の住居より、男の友人の手で以下のような文書が金貨の袋と共に見つかった。
『三国の母、竜の娘より。凪の水面を喰らい三国を竜の国に。貴方に祝福を』
これは明らかな暗号文。
この暗号文は、男と王妃が繋がっていたことを意味している。
その意味はこうである。
三国は3つの国を統合して建国したユークロニア連合王国を意味している。
つまり三国の母とは、王妃を意味する言葉と判断するしかない。
竜の娘とは、ムツタリ族の土着宗教における巫女を意味している。ムツタリ族は竜神を信仰しており、その最高司祭は巫女なのだ。
そしてユーファジアは、その巫女である。
凪の水面は、明らかに惺教を示す言葉だ。
惺教の言葉の意味を考慮すると、それ以外考えられない。
そこから読み解くと、この暗号文には以下の内容が浮かび上がる。
それは
『私はユークロニアの王妃ユーファジア。惺教を糧としてこの国をムツタリのものに。お前に褒美を与えよう』
なんと恐ろしい計画なのか。
立ち上がろう。後悔しないために。
王妃の真の顔を暴け。