メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
酷いな。
何なんだこの記事は。
いや、怪文書か?
こんなもの、誰も信じないだろう……
とは思うけど。
何人にもばら撒けば、たまに信じてしまう奴がいる。
そういう奴からまたこの内容がばら撒かれる。
それが何度か繰り返されると、そのうちに
どう考えても嘘の戯言が、真偽不明の噂になるんじゃないか?
そうなってしまうと厄介だ。
この国の第一王妃が国を壊そうとしているのかもしれない。
あの放火事件は、第一王妃が自分への崇拝を高めるために打った策略で、男が殺されたのは謀略のうちだったのだ。
そういう認識が出来るってことだから。
……どうする?
こういう判断は俺はしたことがない。
「……どうしました?」
俺がマリアから渡されたビラに書かれている怪文書を睨んで動かなくなったからか
訝し気にそう訊ねて来る。
俺は
「……いや、あまりに酷いから一瞬意識が遠のいた。言いがかりだろこんなの。いや、そもそもそんな暗号文と金貨袋とやらも本当にあったのか?」
実はあの事件は第一王妃が民衆の前でムツタリの犯罪者を処断して、民衆からの尊敬を集めるために一芝居打っていたのが真相だったのだ、なんて。
そう読める書き方。
俺は不愉快さを隠さずに
「僕は一応仕事でユーファジア第一王妃陛下にはお会いしたが、普通に良い人だったよ?」
直接対面したときの印象をそのまま口にする。
マリアはその言葉に
「……そうですよね。私もそう思います」
なんだかホッとした口調で、俺の言葉にそう返して来た。
……彼女も第一王妃と会ったことがあるんだろうか?
まるでユーファジア第一王妃に個人的に面識があって、王妃が悪いイメージで見られるのに苦痛があるみたいな。
そんな言い方に感じた。
仮に当たっていたとしたら、どういうツテで面識があるんだろうか……?
まあ、別にいいか。
プライベートだしな。
「なあ」
そしてその日。
宿舎に帰って俺は父親の部屋を訪ねた。
俺の父親の部屋は書き物用の小さな机が1つと、床に直接多数の本が平積みで置かれている、殺風景な部屋だった。
タイトルを見ると、全て魔導器関連の本で
(仕事のために勉強してんのか)
それが分かった。
真面目なんだな。
……そして酒の類が全然無い。
前の世界での自分の醜態を反省してるのかね。
「何だゴロー?」
まるで父親面で、書き机の椅子から俺を振り返る。
いや、正真正銘血縁上は父親なんだけどさ。
俺は
「実は街でこんなことがあった」
マリアとの話をコイツに話す。
仮にも元政治家。
そしてコイツはプライベートで問題を良く起こしていたし。
主に酒を飲んで。
それ、どうしていたのか?
俺の話を俺の父親は黙って聞いて。
全て話し終えた後に「どう思う?」と訊ねたら
「ほっとけ」
……俺の父親が返して来た言葉は、その一言だった。