メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
「なるほど」
俺は口の中のモノを飲み込み、なるべく感じよく映るように返す。
他人の反感を買うような振る舞いをしても、良いことは無いしな。
俺の返しに、女の子は嬉しそうに
「お客さん、見ない顔ですね。エルダ族の人は珍しいから何だかラッキーです」
……変な子だな。
エルダ族って穢れた種族なんじゃないのか?
その常識からすると、この子の反応はおかしい。
俺は
「えっと、出て行ってくれとか言わないんですか?」
事実常識外れなのは間違いないだろうし。
このくらいは訊いてもいいだろ。
するとだ
「私、エルダ族の人と色々交流がありまして」
……そんな。
聞き逃せないことを言われてしまった。
どうもこの女の子……マリアは。
かつてエルダ族の少年を「お兄ちゃん」と呼んで慕っていたらしく。
そのせいもあって、別にエルダ族を「不吉」だとか「不浄」だとか「罪深い」だとか。
そういう風には考えていないそうだ。
それに彼女自身、以前は「不吉である」と蔑まれていた混血児で。
なおさらそんな風には思えなかったらしい。
……この子は立派だな。
自分だって不吉な存在。
この子はそうは言ったが、差別の中にいる者は、自分よりもっと差別されている者を探して、誰よりもその誰かを差別するというのが珍しくないのに。
この子はそうはならなかった。
それはこの子が自分を持ってるってことだ。
……俺とは違って、な。
そんなことを。
マリアというこの少女と会話しつつ頭の片隅で考える。
「エルダ族の人ってこの王都ではどこかで固まって暮らしているんでしょうか?」
俺は故郷の両親が死んで王都に出て来た流れ者という設定で会話し。
その中でこの質問をした。
俺の他にもこの王都にエルダ族が居て。
そこで生活の糧を得ているのなら。
俺もそこに行った方が良い。
そうすれば生活が安定し、俺がこの世界に異世界転生した意味をじっくり探っていける。
するとだ
「ベルギッタさんがエルダ族の人を何人か雇ってますね」
ベルギッタさん。
俺にとって、今後の中心存在になりそうなその人物の名前がマリアの口から出た。
食事を終えた俺は、店主と女の子に「美味しかったです」と礼を言い、店を出る。
マリアには、そのベルギッタさんの店の場所を聞いた。
自分の名前を出したら、話を聞いてくれるかもしれないそうだ。
どうもマリアは、ベルギッタさんという人と共通の知人を通して交流めいたものがあるそうで。
何にしろ、ツイてた。
まさかフラリと入った店でこうも都合よく都合良いヒトに会うなんて……
幸運に気分が良くなり。
――気づくのが遅れた。
気が付くと俺は……
複数の動物耳を備えた男たち……
パリパス族の男たちに取り囲まれていたんだ。