メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
「ほっとけって」
俺は父親のあまりにも投げやりに思えるその言葉に、思わずそう返す。
だけど俺の父親は
「俺も実際の当事者の口は塞いだが、自然発生的に湧いてくる俺の醜聞は基本的に放置した。そっちは根拠が無いからな」
そんなことをやや苦々しい表情で語った。
おそらく認めたくない過去の経験を。
俺の父親曰く
「根拠のない醜聞を権力で叩き潰すと、一般人の目には独裁者のように映るんだ。自分への批判は一切許さないという」
……なるほどな。
外野の目には確かにそう映るかも。
自分にとって都合が悪いから叩き潰したんだ。
そういう風に見えないかと言えば、そりゃ「見える」よな。
……しかし。
本物の独裁者予備軍で、悪徳政治家だった男の口から言われると、感じるものがあるよな!
なので
「雨宮蓮の件もそんな感じだったのか?」
訊いてしまった。
すると俺の父親は暗い表情になり
「……あれは違う。あのときの俺にとっては、あれは忘れてしまうほど些末なことだった」
固い声で、言いにくそうに
コイツに忖度して、当時のこいつの部下のひとりが気を利かせて
獅童正義に危害を加えた高校生の人生を潰しておこう。
そう思ったのが原因らしい。
ヒデエ話だけどな。
……怪盗団の一員だったときに、アイツ自身から聞いた話。
転校早々、自分は犯罪者気質の危険人物であるという評価を何故か学校中の人間から受けていた、という。
その真相が、これか。
……コイツの部下だったやつらも「気を利かせて人間1人を破滅させる」ことがどれだけイカれた行為なのか認識できてなかったんだな。
慣れ過ぎて。
あのときのコイツの周囲は、どいつもこいつも狂ってたんだな……。
「皆、聞いてくれ」
そしてその後日。
1日の仕事を終えて、その帰り道で。
俺はレガリス大聖堂の前を通るんだけど。
……レガリス大聖堂とは、惺教が国教に指定されたときに建立された建築物で。
王都の名所だ。
その巨大さは、王都の外からでも視認できるレベル。
俺自身も、この街を目指すときにこの建築物を目印にした。
あのときの巨大の建物の名前……それがレガリス大聖堂。
惺教が国教の座から引き摺り落とされた今では、国の重要式典を行うための建物としての意味合いしかない。
そんな建物の前に、大きな演説台があった。
その上に、1人のクレマール族の男性が登壇していた。
思わず目をやる。
そこに立っていたのは、あまり若くない男で。
飄々とした雰囲気だけど。
顔つきに強かさと、使命感のようなものがある気がした。
俺は目を向ける。
別に男性の顔に好感を持ったからじゃない。
その男性が喋っていたことが、聞き流せない話だったからだ。
それは……
「惺教が教団を解散するらしい。大教主が決めたそうだ」
惺教が解散だって……?