メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
そして日が経って、話の通りになった。
「これより惺教の罪を浄化します」
レガリス大聖堂の前の広場に設けられた浄化台という名の焚書装置。
何だかオリンピックの聖火台に似ている。
その馬鹿でかい中華鍋に似たものに、真惺教の教団員が聖典を投げ入れている。
ドサドサと、次々と。
……多分集められるだけの聖典を集めてるな。
量がそれぐらいある。
あまりにも多過ぎる、といえるだけの。
そしてとうとう、火が投げ入れられた。
赤い炎が上がる。
点火の瞬間、俺は悍ましさを感じた。
理由は良くわからなかった。
ただ「こいつらは今、この世界の過去の人々の残した言葉を自分の意思で消滅させたのか」と考えたとき。
火を投げ入れた奴ら、聖典を浄化台に放り込んでいる奴らがヒトの形をした化け物に見えた。
……俺が会ったことがある惺教の信者は、一色若葉とそっくりな顔を持ったあの女性だけだけど。
あの人はこの様子をどう思っているんだろうか?
名前は確かリーフだったっけ。
そんなことを、罪の浄化という名の焚書を見ながら考えていた。
そのとき。
「私はもう、惺教……いや、真惺教の信徒を辞めさせてもらう!」
男の声が響いた。
腹筋のきいた、力強い声だ。
その場の誰もがその男に注目した。
男はルサント族の男で。
中年を過ぎた男だった。
頭は剃っているのか、それともそのままなのか禿げ頭で。
顔つきには強さがあった。
武人の雰囲気がある。
その男は、溜め込んでいた怒りを抑えられなくなった……
そんな顔をしていた。
「ギド殿! 何を仰るのですか!?」
周囲の教団員たちが動揺している。
この男、それなりに偉いのか。
そんな男がいきなり教団辞めるって言い出したんだ。
そりゃそうかもな。
「ええい! 触るな!」
自分を引き留めようとするのか、宥めようとするのか。
群がって来る他の教団員を振り払い、そのギドという男は
「何が十罪と十徳だ! 惺教聖典に書かれていることと大差ないだろうが!」
言いつつ、激怒していた。
真惺教は立ち上げる意味が無い。
フォーデンの犯した罪を惺教に擦り付け、否定するとは何事か。
自分はそんなものに付き合う気は無い。
自分はたった1人ででも、惺教の信徒で居続ける。
真惺教ではなく、惺教の信徒だ!
そう啖呵を切り、持っていた杖を捨て。
着ていた上等の法衣のような衣装を乱暴に脱ぎ捨てて。
その下に着ていた薄手の半袖服の姿のまま、その場を去って行った。
……鍛えられた逞しい体だった。
真面目な男なんだろうな……
男のそんな振る舞いに俺はそう感じ。
少し迷ったが、それを追うことにした。
……気になったからだ。
あの、リーフという女性のことを思い出したから。