メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
「どうしても放っておけなくて、お話をしたいと思ったんです。以前、迫害されている惺教の信徒の方にお会いして話したことがあったので」
まあ、嘘ではない。
あのときにあの女性に会ったから、彼のことが気になったのは事実だ。
俺の言葉にギドは
「……エルダ族のお前が? 惺教に……? とんだ変わり者だな」
少し不機嫌な顔でそう返して来た。
まぁ、そりゃそうかもな。
エルダ族は惺教に特別酷く差別されていたようだし。
普通は「いい気味だ」とほくそ笑むと思うだろうさ。
実際、俺が本物のエルダ族ならおそらくそうなったんじゃないかな。
「まぁ、色々あるんですよ。僕にも」
あまりそこを弄ると、会話どころか口論に発展しかねないと思ったので。
俺はそう言って誤魔化した。
ギドはしかめ面を崩さずに
「……で、お前は私に何を聞きたいのだ? 特別に大体のことは答えてやる」
ひょっとしたら、フォーデンとかいう男の影響で、エルダ族に対して非道を行ったという歴史の負い目があるのかな?
ギドは腕を組んで、そんなことを言ってきた。
腕を組むあたりに、俺に対する一定の警戒心を持ってる気がするから、心を開いたとかそういうのではないと思うけど。
まぁ、ならば
「……何で教団解散になったんですか? 疑問に思いまして」
一番聞きたいことを。
「何が疑問なのだ……?」
そんな俺の言葉にギドは訝し気な表情を浮かべる。
俺は
「何故って、そんなに簡単に捨てられるもんじゃないでしょう? 信仰心って」
半分くらい本気でそう口にする。
宗教者は宗教が心の支えのはずだろ。
それを「過去の指導者の1人が大罪を犯したから」という理由で投げ捨てられるものなのか?
普通は「悪いのはフォーデンだけであり、惺教は悪くない」そういう思考に落ち着くはずだ。
それに、国王側、つまり政府もその思考に文句をつけていない。
他ならぬ、この国の第一王妃が言ってたじゃないか。
俺の言葉にギドは顔をしかめた。
悔しそうに、深く。
「……今の大教主が言ったのだ。今の惺教は元の惺教と似ても似つかぬものになっている、と」
そして教えてくれた。
どうも大教主が「今の惺教は惺教ではないというお告げを神からいただいた」と、大集会で言ったらしく。
そこから惺教の解散の話になったらしい。
惺教の解散が、フォーデンの犯した罪に対する禊になるとも言ったとか。
で、その正しい教えを復活させた惺教を真惺教とし。
歪んだ昔の惺教は、存在自体を無かったものにすべき。
現在の聖典は全て焼き捨てる。
そう、決まっていったそうだ。
それに彼の他の幹部連中は、なんと誰も反対しなかった。
唯一彼……ギドだけは
「聖典に書かれていることの何が誤りなのだ!? 決して驕らず、謙虚に生きよという聖典の言葉のどこが!?」
そう言って反対したらしい。
他の幹部たちの賛成の声で塗りつぶされてしまったらしいが。