メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
「あの男……一体何なのだ? 3年前もそうだ! 私は認めていなかった……」
大教主の話をしたとき。
ギドは怒りのためか、歯を噛み締めた。
大教主……ええと、確かマリードだっけ。
前に見た感じは理想的な宗教家に見えた気がする。
だけど、彼にとっては違うらしく
話によると
3年前にスキャンダルがあったらしい。
なんと「フォーデンが生前、今の国王が王子だった時代に暗殺を目論んでいた」という事実が明らかになったんだ。
レラとかいう名の、かつての惺教の重鎮が遺した資料らしいんだが。
何でも、選挙魔法を勝ち抜いた今の国王は、元々前の国王の子供で。
つまり王子だったそう。
前の国王は、穢れた種族のエルダ族の女性との間に子供を作り、それを王子に据えた。
そしてフォーデンはそれを快く思わなかった。
そのために暗殺者を派遣して、命を狙った。
それが明るみに出たんだ。
で、そのせいで国教の座を追われることになったらしい。
俺は
「それは確かな情報だったんですか?」
そう、訊ねた。
パッと聞く限り、捏造の可能性が無いわけじゃないだろと思った。
しかし。
ギドの目に弱い光が灯る。
そして固い声で
「……それは惺教の信徒は、皆知っていた情報だったのだ。知っていて、隠していたことだったんだ」
えっ
さすがに驚いた。
曰く……
そのレラという重鎮は聖女と呼ばれる大魔法使いで。
死ぬ前にテレパシーのようなもので、全惺教の信徒にそのことを暴露し。
当時選挙魔法の戦いに身を投じていた現国王を全力で支持しろと。
そう言い残したらしい。
なので、知っていた。
そのため……
「その事実が明るみに出たとき、誰も反論しなかった。いや、出来なかったのだ……」
……なるほど。
真相を知っているのに、反論なんて出来ないよな……
そして当時の大教主は、元々フォーデンの傍で働いていた人物だったので失脚。
次の大教主が、全く別の派閥から選ばれることになった。
しかしその人選が……
「マリードは、その1年前に惺教に入信し、その後破竹の勢いで出世した男で。有能な男だったのかもしれないが……」
ギドは悔しさ、納得のいかなさ、辛さを滲ませた表情で
「入信1年の男を、教団最高指導者の大教主に据えるのは常識的に考えておかしいだろう!」
声が荒くなるのが抑えられない様子を見せた。
……確かにな。
それは変だ。
いくら有能でも、入信1年の男を教団のリーダーに据えるなんておかしいわ。
なのにそれが通ってしまった。
で、おそらく……
そのことに異を唱えるもの、このギド1人だけだったんだろう。
念のために
「そのことに反対したのは……」
「私1人だ。私の意見は『贖罪意識が無いのか? 惺教は変わらねばならんのだ』の一言で叩き潰されたよ」
訊ねてみるとギドのその返答。
……やっぱり。
そう思ったが……
やっぱりなんか、それ
変だ。
ギド1人だけなんて。
この疑問だけど……
これは、俺があの偽物の東京の街に行く前であったなら、そこで終わっていたのかもしれない。
異様だな、惺教。
それだけで終わっていたかもしれない。
だけど今は違う。
今、この世界には旧世界の神々が、再び世界を手中に収めようと入り込んできている。
そう聞いたから。
(……天照大神に訊ねてみるか)
その旧世界の神様の1柱に訊ねてみれば、何かを教えてもらえるかもしれない。
俺たちがあの街で与えられた神器・八咫鏡は。
今、俺の父親に預けられている。