メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
玉座に座っていたのは。
あのとき……マルティラの街で見かけた、あのエルダ族の男だった。
優し気な容貌の、薄い水色の髪を持つ青年。
あのときは旅人の衣装を身に纏っていたけれど、今は煌びやかな、王に相応しい白基調の衣装を身に着けている。
まさかあのときの、あの青年がそうだったなんて。
「マルティラの街で見ました!」
驚きと興奮で思わず口走っていた。
国王の青年は優しい表情を浮かべて頷き
「……暇を見つけては、連合王国内の様子を見に出かけるんだ。そのときのことかもしれないね」
俺に対し、威圧するような雰囲気の無い言葉を向ける。
ただ……
玉座の力か。
裏に秘める王者の風格が感じられる気がした。
そこに座るには、そういうものを持たないと無理なのかもしれないな。
そんな風に、目の前の国王について考えていると
「色々あるかもしれないけどさ」
考え込んで何も発さない俺に。
にこやかな雰囲気で彼は
「ギドの話をしてくれないか? 本題に入りたい」
そう、告げて来た。
俺の語った話を頷き聞き。
最後まで聞き終えた後。
国王は
「……なるほどな。彼は真面目な男だから、そうとうキツかっただろうな」
そう、俺の話に対する思いを言葉にした。
ギド。
彼の元々の地位は惺教僧兵団団長。
言うなれば聖騎士団長みたいなもんで。
身体を張って惺教を守る立場にいる人間だったみたいだ。
そんな彼が、大切な惺教が崩壊していく様を何もできずに一番傍で見る羽目になるとは。
そりゃ言う通りキツかっただろうな。
「それが何者かの陰謀だというなら、捨ておくわけにはいかないな」
国王は感傷に浸るような表情で呟く。
しかし……
「あの、陛下」
「今はウイルでいい」
慎重に言葉を選んだ俺の言葉に、国王は……いやウイルはそう返して来る。
ならば、と俺は
「ウイルさんは惺教に命を狙われたんですよね? ……そんな惺教を救うんですか?」
単純に感じていたことを訊ねる。
惺教が国教から失脚したのは、フォーデンの罪が発覚したから。
フォーデンの罪とは、現国王の命をかつて狙ったこと。
そんな宗教団体が、陰謀で潰れようと、普通は
当然の報いだ!
そうなるのが自然では?
そう思ったから訊ねたんだが……
ウイルは俺のその言葉に
「計画したのはフォーデンで、惺教が計画したことではないよ」
平然と、そう返したんだ。
そして
「……元々惺教は、この世界がはじまるときに不安で
自身がその惺教に散々差別されたはずなのに。
その声は本当に優しさを感じた。
曰く、不安な気持ちが制御できないと、
最悪、この世界の人間は怪物であるニンゲンに変化してしまう危険を抱えているらしい。
その不安を抑え込むため、縋るものを作ったのが惺教なんだとか。
……その話を聞きながら何気なく、周囲に控えているユーファジア第一王妃の顔を盗み見る。
その表情は……
誇らしさを感じている気がした。
あと、王であるウイルへの熱い視線。
そこで気づく
ああ……この人。
臣下の義務で、止むを得ずに妃になったわけじゃないな。
マジで国王に惚れてんだ。
そうか……