メタファーの世界を救うために、明智が転生してペルソナ能力で戦う話 作:XX(旧山川海のすけ)
パリパス族。
見た感じ、猫耳少女とか犬耳少女とかの親戚。
そんな感じの種族だな。
つまり顔は人間で。ケモミミと尻尾が生えてる。
イメージだけど、おそらく身体能力は高いんだろう。
動物の因子入ってるんだし。
そんなのが数人俺を囲んでいた。
全員男で、ボロボロの服を着てて。
頬はこけている。
そして俺を見てニヤついていた。
「えっと、何の御用ですか?」
なんとなくその用事を予想しつつ、俺が言うと
「財布を出しな」
その俺の言葉に、即座にそう返して来る。
……
しかし、何で俺を……
俺が金を持っているように思われたのか?
だけど
「エルダ族の癖に銀貨で支払いをするなんて生意気なんだよ」
「クズのくせに」
「エルダ族は銅貨以外持つな」
……なるほど。
一気に理解した。
こいつら、ただの差別主義者か。
見たところ人生上手く行ってるように見えないし。
分かりやすく差別しやすい俺を甚振って、ストレスを解消しようって言うんだな。
……冗談じゃない。
「ああ、拒否します」
俺は財布を要求して来た相手に、ハッキリと言い返す。
すると当然、パリパスの男たちは目を吊り上げてきた。
「てめえ、死にたいのかエルダ族のくせに!」
「お金を奪われると僕のこれからが閉ざされてしまうので」
激昂して喚き散らす男に、俺がそう冷静に返すと
「知るか身の程を知れ!」
議論する余地も無く。
一方的にそう言われてしまう。
……これが差別か。
前の世界も差別はあったけどさ。
ここまで酷くは無かったかな。
ため息が出そうになる。
そして男たちの1人が殴り掛かって来たので
俺はそれを躱しざま、男の足を引っ掛けた。
認知世界で好き勝手やってきたおかげで、現実世界でもある程度は動ける。
身体能力の拡大が無くても、そういう勘は身についているからね。
俺に足を掛けられて、ひっくり返るパリパスの男の1人。
「てめえ! 死んだぞ!」
そう言って、男の1人がナイフを――
抜こうとしたときだ。
「いい加減にしないか」
……厳しい感じの女性の声がこの場に飛んで来たんだ。
その場の者が皆、そちらに視線を向ける。
俺たちが争っているこの通りの奥……多分、大通りに通じる方向……から、1人の女性が歩いて来ていた。
その女性は背が高くて。
服装は黒いスーツ風の服。
マントをしていて、実業家の雰囲気を備えている。
長い髪の色は白に近く、目も灰色で白基調なのに、肌の色は褐色。
俺は一見して、彼女はエルダ族なのかと思ったんだが
「げっ、ベルギッタ」
「ベルギッタさん」
男たちは狼狽えている。
ベルギッタ……?
俺も驚く。
これから会いに行こうと思っていた人物と、こんなところで会うなんて
ベルギッタ・ライケン。
ローグ族の女性で、ライケン魔道商会の会長……!
「……何があったのか知らんが、多勢に無勢な上、道具まで使うとは見苦しい。去れ」
ベルギッタという女性は、美人ではあったけど。
とてつもない覇気を感じる女性だった。
……経営者である、という前情報からするに、納得しか無いと俺は思う。
ベルギッタの一喝で、パリパスの男たちは一斉に逃げて行く。
おお……
彼女の権力の強さに、少し興奮した。
頼もしい人物だ……鉄の女か……
パリパスの男たちを追い払った後、彼女は俺を一瞥し
「エルダ族はあまり危険な場所に行くべきではない。昔ほどではないが、まだ差別は色濃く残ってる。冗談ではなく殺されるぞ」
そう俺に言葉を投げ掛け、そのままどこかに行こうとした。
俺は
「ちょっと待って下さい!」
その背中に呼び掛ける。
ここでこの女性を逃すわけにはいかないだろ。